蒸発散量を精度よく推定することを目指して,灌漑草地において有効長波放射量を観測し,傾向を明らかにするとともに,有効長波放射量推定式について検討した。その結果,以下のことを明らかにした。(1)有効長波放射量は冬期に50 W/m2前後,夏期に20 W/m2前後となり,季節的に変動した。(2)日平均地表面温度は夏期に日平均気温より高くなり,冬期に気温より低くなり,日平均気温と同値とはならないことを確認した。(3)既存の有効長波放射量推定式に含まれる係数に気候依存性があることを示すとともに,観測結果に基づく係数の再同定が重要であることを示した。
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