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2014 年度 実績報告書

伝統的気象予測手法「寒試し」とICT農業の融合

研究課題

研究課題/領域番号 24658199
研究機関東京大学

研究代表者

溝口 勝  東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181917)

研究分担者 加藤 幸  弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40302020)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード気象 / ICT農業 / 伝統 / 寒試し / リンゴ / 知恵 / 地域活性 / 土壌物理
研究実績の概要

ICT(情報通信技術)の普及により、詳細な気象情報が比較的容易に得られるようになった。その一方で、圃場レベルの情報は未だ十分ではく、農家は天候把握のため日々工夫を行っている。その中には、農家の経験が集約された伝統的な天候予測手法もある。
「寒試し」は江戸時代の書物「津軽噺」に記述され、青森県において250年以上伝承されてきた農家に伝わる天候予測手法である。この手法は、天候の厳しい日本海側を中心に伝承されており、現在も北海道から西日本にかけて実践例がある。この方法は、旧暦の寒の期間の気象データをもとに1年間の天候を予測するもので、農事暦や風水などに根ざしており、必ずしも科学的なものではない。しかし、「単なる迷信」として片付けるよりも、長年月受け継がれている背景を検討し、農家の慣習の中にある天候を読み解くヒントを得るとともに、その活用法の検証により、生産現場や農村地域で要求されている情報の実態を分析することが重要である。
我々は青森県のリンゴ農家グループである津軽煉成会と協働でリンゴ園地にフィールドモニタリング機器を設置し、現地画像を含む気象・土壌データを3年間にわたり自動収集した。これらデータをもとに、リンゴ農家が採用している「寒試し」データと我々の園地気象データを比較・検討を行った。また、リンゴ農家への種々の聞き取り調査により、農家が伝統的天候予測手法である「寒試し」を継続している理由を明らかにした。
その結果、「寒試し」そのものは正月から旧正月までの30日日間に2時間毎の気象データを記録し、それを単純に12倍することで、1年間の気象変動に換算しているに過ぎないが、事前に作成した予測データを農家グループが共有し、リンゴ栽培期間に毎日「寒試し」データと実際のデータを比較しながら農作業を実践することで緊張感を維持していることがわかった。これは素晴しい農家の知恵といえる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 農業・農村を変えるフィールドモニタリング技術2015

    • 著者名/発表者名
      溝口勝・伊藤哲
    • 雑誌名

      水土の知

      巻: 83(2) ページ: 3-6

    • 査読あり
  • [学会発表] 生産現場における伝統的天候予測方法の現状と課題2014

    • 著者名/発表者名
      加藤幸,溝口勝
    • 学会等名
      平成26年度農業農村工学会東北支部大会
    • 発表場所
      ハーネル仙台
    • 年月日
      2014-10-30 – 2014-10-30
  • [学会発表] 園地モニタリングによる転作ブドウ園の灌漑排水対策の検討2014

    • 著者名/発表者名
      加藤幸,伊東竜太,溝口勝
    • 学会等名
      土壌物理学会
    • 発表場所
      宮城大学
    • 年月日
      2014-10-25 – 2014-10-25
  • [学会発表] Winter Index(冬の厳しさ指数)を利用したリンゴ園の雪害と除排雪の評価2014

    • 著者名/発表者名
      加藤幸,緒方英彦,溝口勝
    • 学会等名
      平成26年度農業農村工学会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟)
    • 年月日
      2014-08-28 – 2014-08-28
  • [学会発表] ICTを利用した圃場モニタリング技術導入のインセンティブに関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      川名 桂・溝口 勝
    • 学会等名
      平成26年度農業農村工学会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟)
    • 年月日
      2014-08-28 – 2014-08-28

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公開日: 2016-06-01  

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