シモバシラ(Keisukea japonica, Miq.)の氷晶析出現象について、析出機構の解明を目的に室内実験を行った。その結果、初冬に氷核活性温度が-2.1~-2.5℃に高まること、電子顕微鏡写真から木部表面に1μmのピット(壁孔)構造があること、3次元蛍光画像解析から茎内部の給水が導管周辺部位を経由して起こることが確認された。気温低下が始まると、氷核活性によって凍結し、ピットが氷の木部内部への侵入を阻止し、氷成長面の吸引力によって土壌水が根系や導管を経て木部表面に移動し、連続した氷晶が析出すると考えられる。こうした現象は、それを模したバイオミメティックス技術への応用が期待される。
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