研究概要 |
青果物に付着する病原微生物による健康被害の軽減を最終目的とし、青果物や食品表面、あるいは食品工場設備に発現するバイオフィルムの形態を細胞外マトリクスと生菌に分類してその構造を経時的に観察し、バイオフィルム の発生から脱離までの微細な形態変化の究明するとともに、洗浄等を行う際に必要なバイオフィルムの物理的特性を明らかにしようとするものである。 まず、乳製品副産物であるスキムミルク、バターミルク、バターセーラム液により表面を調製されたクーポンを共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)で観察し、膜厚は上記の副産物順に厚くなることを明らかにした。また、これらの副産物で調製したクーポンは乳関連微生物(Lactococcus lactis , Leuconostoc mesenteroides, Lactobacillus casei)の付着を抑制することを見出した。これによると、バターミルクとバターセーラムはスキムミルクより付着抑制効果は高く、長時間効果が持続する。 また、昨年に引き続き、インデンテーション法を用いたバイオフィルムの力学的評価方法の確立を検討した。Pseudomonas putidaを供試菌とし、試片表面にバイオフィルムを付着・成長させ、小型万能試験機で20μmの載荷と10μmの除荷を圧子先端部が試片に達するまで繰り返した。変位荷重曲線の傾きから試片とバイオフィルムのそれぞれの接触変位を得、バイオフィルムの膜厚を求めた。その結果、膜厚が薄い方がバイオフィルムの強度が大きくなる傾向が得られた。
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