研究課題/領域番号 |
24658215
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
廣田 知良 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター生産環境研究領域, 上席研究員 (20343949)
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研究分担者 |
根本 学 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター生産環境研究領域, 研究員 (10469843)
井上 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター生産環境研究領域, 主任研究員 (20354011)
菅野 洋光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産環境研究領域, 上席研究員 (30355276)
濱嵜 孝弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター生産環境研究領域, 主任研究員 (80442789)
西尾 善太 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域, 主任研究員 (80446476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 小麦 / 長期気象予測 / 温暖化適応 |
研究概要 |
北日本における月平均気温の4月と8月の強い負の相関関係の要因解明のために各高度場に主成分分析を行い、得られた主成分と北日本4 月8 月気温との相関、およびこの時間相関をみた。その結果、200hPa高度場に主成分分析では、気温変動とほぼ同一の変動を示す2つの成分(4月の第2主成分、8月の第3主成分)が抽出できた。4月の第2主成分と8月の第3主成分の13年移動相関係数を見ると、1990 年代終わり以降、有意な負の相関を示し、4 月8 月気温の時間変動とも良く一致した。200hPa 高度のu 成分での回帰計算では、日本付近のジェット気流の強弱が示唆され、またSST との回帰計算結果では、8月に日本付近での変動と同時にENSO様の分布とも対応していた。 夏季高温が小麦に与える影響解明のため、北海道の秋まき小麦品種(ホクシンとキタノカオリ)を対象として、1997年~2011年での生育気温が秋まき小麦の収量構成要素に与える影響を解析した。結果は、1.4月中旬の平均気温と「ホクシン」の稈長は、有意な負の相関を示し、4月下旬の平均気温と「キタノカオリ」の穂数は有意な負の相関を示す。2.5月下旬の平均気温と穂長は、両品種とも有意な負の相関を示す。3.秋まき小麦の出穂から成熟までの登熟期間の平均気温と登熟日数は、強い負の相関関係を示し、登熟期間の平均気温が1℃上昇すると、「ホクシン」、「キタノカオリ」ともに、登熟期間は約3日短縮し、千粒重は、「ホクシン」が2.3g、「キタノカオリ」が1.9g減少する。 帯広の気温と十勝の平均単収の相関は、7~8月平均気温>8月気温>7月気温、となり、単月では7月より8月の方が、相関が強い結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北日本における4月-8月の強い負の相関関係については要因解析が進み、2013年度に論文は出版されることとなった。また、小麦の高温影響の解析についても、成果が国際誌に掲載され、成果を出すことができた。この小麦の解析を受けて、小麦の圃場試験についても対策技術を考慮した試験に着手したところである。以上の状況から研究の進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は解析研究を中心に進め、この結果を基に秋まき小麦の試験を進める。夏場の高温時の予測手法の精緻化と与えられた気象条件における登熟期間に小麦の生育状態をどのように最適化するかを主眼において試験を組む。施肥管理および土壌凍結条件における違いをみる試験設計を組んだ。また、解析では北海道品種は「ホクシン」、「キタノカオリ」が主力品種であったが、これらに代わって「きたほなみ」と「ゆめちから」に主力品種が移行した。栽培試験もこれらの今後の主力品種を中心に実施する。これらの品種は穂発芽耐性が従来品種より優れており、また、現在小麦の高温対策が求められていることから、圃場試験は高温対策に主眼をおいて取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の雪解け以降に試験を本格的に実施するため、一年目の研究費を繰り越し二年目に重点的に投入することとした。圃場試験資材やそのための人件費、観測資材、また研究会を開催するための旅費を中心に予算化した
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