研究課題
骨格筋(食肉)の筋線維タイプは食肉の肉質や栄養機能性の重要な決定要因であるが、その調節機序については、責任遺伝子・分子シグナル・発現場所・変化時期など、いまだ不明な点が数多く残されている。筋線維タイプの変換は成熟筋線維で生じる現象だと考えられているが、現在普及している細胞株(C2C12やL6)では、成熟筋線維まで分化させる事は極めて困難である。そこで本研究では、①マウス・ラットの単離筋線維の長期(1週間以上)培養法を確立し、②生体で観察される運動トレーニングや不活動による筋線維タイプの変化をin vitroで再現することを目的とした。昨年度は①に取り組み、ラット単離筋線維の生存率を培養7日目でも90%以上に維持できる培養方法の確立に成功した。一方、培養過程において、収縮タンパク質のミオシン重鎖は培養日数に伴い、著しく低下することも明らかになった。この変化は恐らく筋萎縮様の状態を反映していると推測した。そこで今年度は、筋線維タイプ変換機構解析を行う前段階として、単離筋線維に①物理的刺激(振盪刺激、伸展刺激、電気刺激)、②化学的刺激(アセチルコリン等の因子添加)、③動物種の比較(マウスとラット)を試し、MyHC発現の低下が抑制されるか検討を行った。しかしながら検討したいずれの条件でも、ミオシンの低下を抑制することはできなかった。一方、実際に単離筋線維の培養に伴い、筋萎縮マーカー分子が増加するかウェスタンブロッティングで調べた。その結果マーカー分子の一つatrogin1は培養に伴い増加していた。従って、本単離筋線維培養系は、萎縮マーカー分子を指標とした筋萎縮モデルとして適用できる可能性を見出した。
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