研究課題/領域番号 |
24658229
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
牛田 一成 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (50183017)
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研究分担者 |
井上 亮 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (70443926)
塚原 隆充 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (90562091)
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キーワード | 繁殖母豚 / 歯茎 / TNF-α / 口腔細菌構成 / 病理組織検査 / 歯肉炎 |
研究概要 |
前年度は、若い産歴の母豚を用いて歯肉炎症の有無を確認したが,本年度は高産歴(6~11産)母豚7頭を実験に供試した。分娩後,母豚の血液及び乳汁を採取するとともに産仔の成長を記録した。同時に産仔の採血も実施した。仔豚離乳後に母豚を出荷し、屠場で頭部を回収した。母豚口腔内を肉眼観察し,歯茎の炎症の程度を評価した。炎症部位を含むように下顎を切断し,ホルマリン固定を行った。同時に歯垢を採取し,口腔内細菌構成を次世代シーケンサーで解析した。産仔のほ乳期間の事故率と口腔内細菌構成の関係を解析したところ,事故率が高かった母豚の口腔内では、Odoribacter属,Filifactor属,Phascolarctobacterium属,Fusobacterium属,Treponema属が高占有していた。これらは歯周病患者から頻繁に分離される菌群であることから,産仔生存率と口腔内細菌構成との関係が示唆された。母豚下顎部の病理組織学的検査を行ったところ,産仔生存率が低い母豚歯肉は重度の炎症が起こっていた。また,母豚の血清及び乳汁中TNF-α濃度を測定したところ,産仔生存率が低かった母豚は顕著に高値を示していた。一方で,歯肉に重度の炎症が認められた母豚についても歯槽骨の顕著な吸収は起こっておらず,本研究で解析した母豚の病態はいわゆる歯周病には分類されず,あくまで歯肉炎であると考えられた。 以上の結果から,重度歯肉炎を発症した母豚中の口腔内細菌構成は歯周病関連菌が高い占有率を示すようになり,血清中及び乳汁中TNF-α濃度が高値を示し,産仔の生存率に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
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