研究課題/領域番号 |
24658255
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
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研究分担者 |
福士 秀人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10156763)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 獣医学 / 微生物 / 感染症 / ゲノム / 人獣共通感染症 |
研究概要 |
クラミジアは属・種間で多様な宿主域、病原性を示す。クラミジアは偏性細胞内寄生性を示し、宿主細胞中で感染性粒子である基本小体(EB)から増殖能を示す網様体(RB)への性状転換を伴うユニークな増殖環を有する。増殖環は属・種間で多様性が認められ、多様な宿主域や病原性にも関連すると考えられる。申請課題では、クラミジアの増殖環の制御機構を明らかにすることを目的とする。特にnon-coding RNA (ncRNA)による遺伝子制御機構に着目する。具体的には、1)次世代シーケンサー(NGS)を用いたトランスクリプトーム解析によるクラミジアncRNAの網羅的な同定、2)同定したncRNAの標的RNA探索やin vitroにおける機能解析、を行う。ncRNAによるクラミジア宿主域決定や病原性制御という新たな概念を創出することを目指す。今年度は、NGSを用いたRNA seqを一度行ったが、種々の問題点が明らかとなった。精製基本小体および感染細胞から抽出した全RNAより、オリゴdTおよび原核生物のrRNAプローブを用いて、クラミジアmRNAの濃縮を試み、RNA seqに供した。結果、クラミジアゲノムにマッピングできたリードが約12%、そのうち98%がrRNAであった。そのため、特に感染細胞からのサンプル調製の改良を検討した。結果、感染細胞からクラミジア封入体を精製し、より高品質のクラミジアmRNAを精製する系を構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績概要のところで述べたとおり、RNA seq解析で有意なncRNAを同定することができなかった。しかしクラミジアは偏性細胞内寄生細菌であるため、他の人工培地で増殖可能な細菌と比較し、RNA seqが難しいであろう事は予想できたことである。今年度は、RNA調整法の再検討、改良を行うことができた。偏性細胞内寄生性細菌におけるRNA seqの報告は世界的にもまだ少なく、現時点での遅れは想定した範囲内であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
改良したRNA調整法で再度、RNA seqを試みる。サンプルは、精製基本小体と、感染12時間後のサンプルを予定している。また、クラミジアカスタムアレイを作製するため、調整したRNAはアレイ解析にも供する。最終的にはRNA seqおよびアレイの結果を比較解析し、ncRNAの同定を目指す。RNAの調整法、得られたデータの解析法については、専門家と密にディスカッションを行えるような体制も整えることができた。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の75%程度は、RNAサンプルの調整、RNA seq、アレイ解析用の標識試薬等、分子生物学的な試薬に使用する予定である。その他、クラミジアを培養・精製するための培養細胞関連試薬を予定している。備品の購入は予定していない。その他、共同研究者との打ち合わせ、学会発表等による旅費を予定している。
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