研究課題/領域番号 |
24658255
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
大屋 賢司 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50402219)
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研究分担者 |
福士 秀人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10156763)
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キーワード | 獣医学 / 微生物 / 感染症 / ゲノム / 人獣共通感染症 |
研究概要 |
クラミジアは属・種間で多様な宿主域、病原性を示す。クラミジアは偏性細胞内寄生性を示し、宿主細胞中で感染性粒子である基本小体(EB)から増殖能を示す網様体(RB)への性状転換を伴うユニークな増殖環を有する。増殖環は属・種間で多様性が認められ、多様な宿主域や病原性にも関連すると考えられる。申請課題では、クラミジアの増殖環の制御機構を明らかにすることを目的とする。特にnon-coding RNA (ncRNA)による遺伝子制御機構に着目する。これまでの検討により、昨年度実施したRNAseqではncRNAの同定はできなかった。これには、調整したRNAの質的、量的な問題が考えられた。今年度は、昨年度に引き続き、感染細胞からの菌体精製、さらにそれからのRNA調製法の改良を行った。調整したRNAの品質について、幾つかの遺伝子発現を検討したところ、解析に充分耐えられるものがえられるようになったのではと判断している。次年度は、RNAseqを再度試み、ncRNAの同定を含めた、目的の達成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要のところでも述べたとおり、偏性細胞内寄生細菌のRNAseq解析は、他の人工培地で増殖可能な細菌のRNAseq解析よりも難しい点が多い。ここまでの検討で、ようやく解析に充分耐えうる質・量のRNAが確保できるようになったと考えている。偏性細胞内寄生細菌のRNAseqに関しては報告がまだ少なく、世界中の研究者が同様の問題に対していることもあり、学会等で情報交換している。ようやく、質・量共に解析に耐えうるサンプルを得られるようになったと考えており、現在の遅れは想定の範囲内である。
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今後の研究の推進方策 |
調整したサンプルから、定法に従いライブラリーを作製しRNAseq解析に再び供する。解析には共同研究者が新規に導入する最新の機種を用いる予定である。得られたデータの解析を行い、目標の達成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は感染細胞からのクラミジア菌体精製法の改良を中心に検討を行っていた。当初計画では、平成25年度中に、改良した方法で調整した材料を用いて解析を行う予定であった。2013年12月に、細胞内寄生生物のトランスクリプトーム解析に関する新しい論文が発表された。この論文に記載してある方法は、研究課題に非常に有用であると思われ、急遽、この方法をとりいれるべく再検討を始めた。そのため、補助事業機関延長申請をした。 改良したサンプルの調製方法、すなわち、ビーズを用いた感染細胞の破壊、全RNAからのrRNAの除去により、感染細胞から、高純度のクラミジアRNAを精製する。トランスクリプトーム解析に関しては、定法に従いライブラリーを作製し次世代シーケンサーを用いた解析に供する予定である。必要に応じて、リアルタイムPCR、クラミジアアレイも実施する。
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