研究概要 |
One World, One Health”のもと、野生動物由来感染症の重要性が認識されつつある。申請者らは近年、野生動物から幾つかの新規ウイルスの分離に成功してきた。しかし、これらは感染細胞における細胞変性効果(CPE)を指標にして分離されたものであり、ウイルスの中にはCPEを生じないものも数多く存在する。本申請研究はウイルス感染に迅速に反応する各種動物由来細胞の樹立を目的とし、更なる新規ウイルスの検出・分離および診断系の確立に役立てる。 1)DC-SIGNとDC-SIGNRの機能部位を特定するためにキメラ蛋白を発現してその昨日解析を行った結果、N末端領域の結合部位がその機能に関与していることが判明した。 2)不死化HUVEC細胞の樹立を確認し、細胞を用いてCD31及びvon Willebrand factor (vWF)の発現について確認を行った。また、日本脳炎ウイルスがHUVEC細胞に感染でき、HUVEC細胞で継代するとE遺伝子の特定部位に変異が生じることが確認された。 3)フェレット、アザラシ、クジラから細胞株の樹立に成功した。フェレット由来コロナウイルスの分離を試みている。 4)FcレセプターであるCD16とCD32を発現するVero細胞の樹立に成功した。抗体存在下でウイルス分離が可能かを現在検討中である。 5)E型肝炎ウイルスのモデルを構築するためにヒト由来ウイルスのORF2の発現を試み、抗原性があることが示された。DC-DIGNあるいはDC-SIGNR発現細胞、Fcレセプター発現細胞、HUVEC細胞などを用いて分離を試みているが分離に成功していない。
|