研究課題/領域番号 |
24658259
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
末吉 益雄 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 教授 (10305063)
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研究分担者 |
上村 涼子 宮崎大学, 農学部, 助教 (90529190)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 養豚衛生 |
研究概要 |
本研究の目的は、家畜の監視伝染病の一原因菌でもあるサルモネラ菌の抜本的対策として、サルモネラ菌のフリーをめざし、クリーン(清浄)な農場を作成し、全国に模範農場モデルとして発信することである。 2010年口蹄疫が多数発生し、地域全体の偶蹄類動物を処分しなければならなくなった児湯地域について、現在、特定疾病(オーエスキー病(AD)と豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS))フリー計画が進行中である。その計画では、ADとPRRSの陰性が確認された豚が導入されている。また、その清浄化維持のため、バイオセキュリティの高い維持が保たれている。これらの農場において、さらに、飼料、害虫、害獣について滅菌、駆除を徹底することで、サルモネラフリー農場を確立する。そのため、まず、豚サルモネラ症の特徴である下痢症が発生している養豚場の立ち入り調査をし、サルモネラ症の疫学調査を実施するとともに、農場バイオセキュリテイ、生産性向上のためのベンチマーキングについて調査した。 また、食肉処理場に出荷された豚の血清について、サルモネラ抗体について調査した。 さらに、クリーンな養豚場として、悪臭軽減化にも取り組んだ。子豚飼育施設を2基設置し、試験区には、高殺菌素材を使用したパネルを床、壁にはり、空気清浄機を床に設置し、排気口からの空気を天井に設置したソーラリアクター処理して排気口から換気し、4週間飼育試験し、何も設置していない対照区と、浮遊微生物数、床、壁、の拭き取り検査などについて比較試験した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2010年口蹄疫被災を機に、全飼育豚を処分しなければならなくなった西都-児湯地域について、推進されている特定疾病(ADとPRRS)フリー計画は、想定以上に順調に進行中である。当該養豚場のバイオセキュリティも高い維持が保たれている。これらの農場においては、疾病数が、以前と比較して、減少してきている。そのため、サルモネラ感染を疑う症例数もほとんど出ていない。本年度は、豚サルモネラ症の特徴である下痢症が発生している養豚場の立ち入り調査をし、サルモネラ症の疫学調査を実施したが、全て陰性であった。生産性向上のためのベンチマーキングについては、口蹄疫発生前と後を比較したところ、3農場において、離乳時一腹体重は経営再開後のほうが重かった。肥育成績では、肥育中事故率が経営再開後で低かった。また、経営再開後における出荷日齢は再開前と比べて約20日早かった。母豚データでは、一腹当たり総産子数と生存産子数は、産次1と3において、経営再開後のほうが約0.5頭多くなった。離乳時一腹体重は、産次1から4において、経営再開前と比べて再開後のほうが約1kg増加していた。 また、殺菌素材MaSSCを使用した豚舎環境の微生物・異臭軽減試験では、MaSSCタイルの高殺菌力が確認され、豚飼育試験では、床面菌数は99%低く、ガス&浮遊菌についても低い値が出た。 また、食肉処理場に県内外出荷豚の血清について、サルモネラ抗体について調査したところ、全農場においてサルモネラ抗体が検出された。個別の出荷豚については80%強から検出されている。
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今後の研究の推進方策 |
2010年口蹄疫被災地域の特定疾病(ADとPRRS)フリー計画については、今後も注視しつつ、養豚場のバイオセキュリティの維持についても監視する。そのことで、クリーン養豚場モデルとなり、全国への発信となる。それらを普及させるためには、当該養豚場の生産性向上を数値化して解析し、公表する必要がある。そのため、今年度もベンチマーキング調査を継続させる。 また、殺菌素材MaSSCを使用した豚飼育試験については、再現性試験での検証、飼養頭数(増頭試験)での検証、費用対効果検証(効果的施行)、臭いの由来菌についての調査、高殺菌素材MaSSCの浄水処理への応用について検討する。 また、出荷豚の血清サルモネラ抗体サーベイランスについても継続調査し、養豚場の環境衛生および衛生害獣・害虫についても継続調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬・器材等物品として、60万円、旅費として30万円を計画している。
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