研究課題/領域番号 |
24658259
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
末吉 益雄 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 教授 (10305063)
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研究分担者 |
上村 涼子 宮崎大学, 農学部, 助教 (90529190)
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キーワード | 消毒 / 細菌 / サルモネラ / 養豚場 |
研究概要 |
民間養豚場の豚舎について発泡消毒と煙霧消毒方を取り入れ、複合次亜塩素酸系消毒剤、過酸化物およびアルデヒド製剤の各組み合わせで実施し、3日間と7日間の5つの工程で洗浄・消毒を行い、AO後(洗浄・消毒前)およびAI前(洗浄・消毒後)の豚舎床などを拭き取り検体とし、効果比較試験を行った。一般細菌、大腸菌群、ウェルシュ菌、サルモネラ属菌について培地への直接塗抹による分離・培養・検出・菌数測定を行い、豚サーコウイルス2型(PCV2)と豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)はreal time PCRにより測定を行った。また、7日間洗浄・消毒法(ビルコン発泡とグルタ煙霧)方法を採用してAI・AO時の採材を行い、洗浄・消毒の効果をモニタリングした。結果、3日間洗浄・消毒法では一般細菌が平均98.99%減少したが大腸菌群の減少はみられなかった。7日間洗浄・消毒法では一般細菌は平均99.99%以上、大腸菌群は90.79%減少し、7日間洗浄・消毒法の方が細菌の減少がみられた。洗浄・消毒のステップ毎の検査では、一般細菌は洗浄・消毒過程の各段階において減少し、大腸菌群数は煙霧乾燥後で、ウェルシュ菌は水洗のみで検出不可となった。月毎のAI・AOの洗浄・消毒モニタリングでは細菌・ウイルスともに季節性はみられなかった。サルモネラの抗体検査は毎月陽性率に変動があり、出荷豚は0%から88.9%の割合で抗体陽性だった。複合次亜塩素酸系消毒剤発泡消毒とアルデヒド製剤煙霧消毒の組み合わせで乾燥期間を3日間設定した7日間工程法では、細菌の排除について効果的であったがPCV2は必ずしも減少しなかった。PCV2の消毒剤に対する抵抗性とともに、農場外部からの再侵入が考えられた。また、8月と9月において出荷豚のサルモネラの抗体陽性率が最も高かったことから、初夏から夏場の感染あるいは保菌数の増加が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
宮崎県児湯郡では、2010年の口蹄疫被災後、養豚新生プロジェクトを立ち上げ、特定疾病フリー地域の維持に努め、生産性向上が認められている。今後も、清浄な環境を維持するための洗浄・消毒行程が重要である。今回、3日間と7日間の行程で洗浄・消毒行程を比較し、7日間かけて、乾燥期を設ける重要性が明らかとなった。また、煙霧消毒の有用性も明らかとなり、今後の防疫として有用であることが認められた。
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今後の研究の推進方策 |
洗浄・消毒の適切な手法を開発し、特定疾病フリー地域の拡大を目指しているところだが、平成25年度後半には、豚流行性下痢(PED)の発生・流行が宮崎を含む南九州で勃発した。農場バイオセキュリティの隙間を突いた発生であった。PEDにはワクチンが開発されており、ワクチン接種等の衛生管理との両輪でクリーン養豚場を維持管理する必要性を再認識した。 今年度は、殺菌素材MaSSCによる豚飼育環境および豚舎周囲環境の改善の検討をする。
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