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2012 年度 実施状況報告書

フラビウイルスの感染臓器特異性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24658261
研究機関京都産業大学

研究代表者

前田 秋彦  京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (70333359)

研究分担者 佐々木 宣哉  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (20302614)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードウイルス / 感染症 / 獣医学 / 細胞・組織 / フラビウイルス / 臓器特異性
研究概要

赤緑蛍光蛋白質 DsRed 遺伝子を導入したフラビウイルスの一種であるウエストナイル(WNV)のレプリコン RNA (ウイルスのゲノムの構造蛋白質遺伝子領域を DsRed 遺伝子に置換しているため、細胞内で自己複製するが粒子形成されない。また、レポーター蛋白質として DsRed が発現するため、レプリコン導入細胞が蛍光顕微鏡下で観察される)を内包した WNV 様粒子(VLP/DsRed)を作製した。パイロット実験として、VLP/DsRedを、マウスから採材した各種の臓器に注射筒を用いて直接投与したところ、VLP/DsRed感染細胞(DsRed 発現細胞)は接種部位に局在した。したがって、この方法では各臓器におけるウイルス感受性細胞を同定することは困難である。そこで次に、各種臓器のスライス培養を確立し、VLP/DsRedを感染させ、ウイルス感受性細胞を同定できるか否かを試みた。まず、マウスの脳を分離し、1mmおよび2mm厚の連続脳スライスを作製した。このように作製した脳スライスは約2週間ダルベッコ変性最少必要培地(DMEM)+10%牛胎子血清(FCS)中で培養が可能であった。作製後2日目の脳スライスにVLP/DsRedを感染させたところ、脳組織の一部に限局して DsRed の発現が観察された。本方法を用いて、研究の当初の目的である、各種臓器のフラビウイルス感受性細胞(宿主臓器特異性)を同定することが出来るものと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の実験計画では、1年目にフラビウイルス感受性マウスおよび抵抗性マウス(Oas1bマウス)の両マウスから様々な臓器を採材し、各臓器に作製した赤色蛍光蛋白質発現ウエストナイルウイルス様粒子(VLP/DsRed)を直接投与することによって、フラビウイルスの臓器特異性を検討する計画であった。ところが、マウスから摘出した臓器へVLP/DsRedを直接投与すると、VLP/DsRedの感染が投与部位に限局してしまい、この方法では臓器全体でのフラビウイルスの感染特異性を評価することは困難であることが分かった。そこで、研究方法を変更し、各種臓器のスライス培養を確立し、VLP/DsRedの感染性を検討することで当初の目的を達成できるかどうかについて検討した。「9.研究実績の概要」で記したように、パイロット実験としてマウスの脳スライス培養法を確立し、脳スライスにVLP/DsRedを感染した。この方法では、論理的には脳スライスの全ての部位にVLP/DsRedが感染可能であるため、VLP/DsRedの脳内での感染細胞を同定できるものと考えられた。実際、部位は特定できていないが、VLP/DsRedが感染し、DsRed蛋白質が発現している領域が認められた。この結果は、各種臓器のスライス培養系とVLP/DsRed感染系を組み合わせることで、本研究の目的とした、「フラビウイルスの感染臓器特異性(臓器内の感染感受性細胞)」について検討できるものと考えられた。

今後の研究の推進方策

本年度の結果から、各種臓器のスライス培養系とVLP/DsRed感染系を組み合わせることで当初の研究目的が達成できるものと考えられた。そこで次年度は、最初に、フラビウイルス感受性マウスおよび抵抗性マウス(Oas1bマウス)の各臓器スライス培養系を確立する(感受性マウスは前田が分担、Oas1bマウスは佐々木が分担)。前年度の実験結果を基にして、まず最初に脳(脳はフラビウイルスの標的臓器の一種である)の臓器スライス系について検討する(前田および佐々木)。次に、他の臓器スライス系について検討する(前田および佐々木)。確立した臓器スライスに赤色蛍光蛋白質発現ウエストナイルウイルス様粒子(VLP/DsRed)を感染する(前田および佐々木)。その結果、感受性マウスの臓器スライスでDsRedが発現しているが、抵抗性であるOas1bマウスで発現が認められない臓器内の領域(細胞)を同定する(前田および佐々木)。最後に、当該領域での遺伝子発現をDNAマイクロアレイやディファレンシャルディスプレイ法により解析し、フラビウイルスの臓器特異性(ウイルスの感受性)を決定する宿主因子を同定する(前田および佐々木)。同定された遺伝子について、フラビウイルスの感染宿主因子であることを、当該遺伝子の遺伝子ノックアウトマウスや高発現マウスを用いて確認する(前田および佐々木)。
平成25年度は、研究遂行するために必要な消耗品の購入する予算を申請する。また、得られた成果を関連学会や学術紙上に発表するための諸費用を申請する。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Review of diagnostic plaque reduction neutralization tests for flavivirus infection.2013

    • 著者名/発表者名
      Maeda, A., and Maeda, J.
    • 雑誌名

      Vet. J.

      巻: 195 ページ: 33-40

    • DOI

      10.1016/j.tvjl.2012.08.019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The chicken 2-5 oligoadenylate synthetase A inhibits the replication of West Nile Virus.2012

    • 著者名/発表者名
      Tag-El-din-Hassan, Hassan T., Sasaki, N., Moritoh, K., Torigoe, D., Maeda, A., and Agui, T.
    • 雑誌名

      Jap. J. Vet. Res.

      巻: 60 ページ: 95-103

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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