研究課題/領域番号 |
24658262
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
稲葉 睦 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 教授 (00183179)
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研究分担者 |
佐藤 耕太 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50283974)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床病態 / 小胞体 / 品質管理 / 生体膜 / 小胞体関連分解 / プロテアソーム |
研究概要 |
本研究の目的は、小胞体(ER)タンパク質品質管理(ERQC, ER quality control)とプロテアソームによる分解(ERAD, ER- associated degradation)における新規膜タンパク質CLPTM1の役割を、アニオン交換輸送体AE1のERにおける相互作用に焦点をあてて解明することである。 蛍光抗体法による検出や、CLPTM1-EGFP、myc-CLPTM1を培養細胞に発現させることにより、CLPTM1がERに局在することを明らかにした。 R664X AE1、あるいはΔF508-CFTRとCLPTM1を培養細胞に一過性共発現させ、プロテアソーム阻害剤の存在・非存在下、あるいはsiRNA法で内因性CLPTM1の発現を抑制した条件下で、これらタンパク質の含量、相互作用、細胞内局在を検討した。その結果、ERにおいて、CLPTM1がR664X AE1と特異的に結合する一方、CFTRとは結合しないことを明らかにした。しかし、R664X AE1のプロテアソームによる分解には、CLPTM1の存否による明瞭な影響が認められず、ERにおけるR664X AE1のCLPTM1との結合とプロテアソーム分解とは直接にはリンクしないことが示された。したがって、CLPTM1のR664X AE1のERADにおける役割は、ERシャペロンとして、これをERに止めることにあることが推定された。一方で、興味深いことに、CLPTM1と同時に見出したKIA0090が、やはりR664X AE1と結合し、さらにそのプロテアソーム分解を促進することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)CLPTM1がR664X AE1のERシャペロンとして機能することを明確に示し、そのERADにおける役割の実証という平成24年度本研究の主たる目的は達成し得た。 2)一方、CLPTM1とR664X AE1のプロテアソーム分解との関係については、予想と異なる結果を明確に示し得た。さらに、本年度の実験結果から、R664X AE1のERADに関して、KIAA0090という新たな構造、機能ともに未知のタンパク質が関与することが示され、その分子機構解明への手掛かりを得ることができた 以上の理由から、計画は当初計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1)上記、ならびに申請者らの従来知見から、CLPTM1-R664X AE1間結合は、ERにおける複数のシャペロンタンパク質群により形成される複合体を形成する要素と考えられる。そこで、当初の平成25年度計画に従い、これら複合体を構成するタンパク質群を、アフィニティー精製/プルダウン法とLC-MS/MSにより解明する。 2)新しく実証されたKIAA0090の、R664X AE1のERADにおける促進作用がいかにして生じるのかを明らかにする手段を検討し、それを試行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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