研究課題
平成25年度は組織球性肉腫に罹患したペンブロープ・ウェルシュ・コーギー(PWC)犬3例と、高齢で組織球性肉腫および変性性脊髄症のいずれの疾患にも罹患しなかったPWC犬3例の全ゲノムを再度次世代型シークエンサーにより解析し、現在罹患例と非罹患例についてin silico解析を実施している。本検索により現在組織球性肉腫の発症に関連する数種の遺伝子の絞りこみを行っているが、現時点で最終的な結論に至っていない。一方、本研究期間においてPWC犬の髄膜組織球性肉腫より分離された培養細胞について、ほぼ株化に成功し、ヌードマウスやSCIDマウスへの移植性も確認された。同細胞とゴールデンレトリバー犬の皮膚より確立された既存の組織球性肉腫由来の細胞株とin vitoroおよびin vivoの比較解析を実施した。既存の細胞株は樹状細胞(DC)由来と考えられており、同細胞と本研究で樹立した細胞の表面抗原や貪食能を比較したが、両細胞のこれらの特性は非常に類似しており、DCとしての性格よりもむしろマクロファージとしての性格を有する細胞であることが明らかになっている。さらに近年、米国よりイヌの組織球増殖疾患に関する総説が発表され、米国ではPWCが本疾患の好発犬種ではないとの報告がされたため、東京大学動物医療センターにおけるイヌの組織球性肉腫の発生頻度に関する疫学調査を実施し、日本ではPWCが本疾患の好発犬種であることを改めて確認した。本成果についてはすでに学術論文にその結果を公表している。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
J Vet Med Sci.
巻: In press ページ: In Press
doi: org/10.1292/JVMS.13-0414