研究課題/領域番号 |
24658268
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
水野 拓也 山口大学, 獣医学部, 教授 (90398826)
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研究分担者 |
中川 貴之 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (40447363)
久保 正仁 山口大学, 獣医学部, 助教 (40593439)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | PSGL-1 |
研究概要 |
① 犬の腫瘍組織におけるPSGL-1分子の発現の検討 犬の腫瘍の転移にPSGL-1が関与するかを検討するために、本研究室において作成したPSGL-1に対する5種類のモノクローナル抗体(Umeki S et al. Vet Immunol Immunopathol 2011)を用いて、犬の腫瘍組織100例におけるPSGL-1の発現を検討した。その結果、残念ながら明らかな陽性を示したものはなかった。このことは自然発生の犬の固形腫瘍においてPSGL-1が原発巣において発現していない事を示唆しているが、PSGL-1が発現した細胞のみ転移に関与する可能性もあり、その場合転移巣においてのみまたは転移の際にのみ一時的に発現する可能性もあるためPSGL-1の発現と転移トの関連について完全に検討はできていない。 ③犬PSGL-1が過剰発現し浮遊した細胞が生存し続ける機構の解析 PSGL-1が過剰発現し浮遊した細胞が、浮遊状態で生存し続ける機構を明らかにするために、PSGL-1を過剰発現させ浮遊した細胞とPSGL-1が発現せず付着したままの細胞細胞において周期関連蛋白およびアポトーシス関連蛋白についてそれらの発現検討をウエスタンブロッティングにより検討した。その結果発現に差のある蛋白質は認められなかった。次にこれら機構を明らかにするために、同様のサンプルを用いてDNAマイクロアレイを行なった。その結果、ある特定のシグナル伝達径路に関連するmRNAの発現が上昇していることが明らかとなった。現在そのメカニズムを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定と順序を変更し、H24年度は,主にin vitroの実験を実施した。H25年度は、in vivoの実験を中心に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度は、イヌ乳腺腫瘍転移性細胞株にPSGL-1の過剰発現およびノックダウンを作成し、それらをマウスに異種移植することで、PSGL-1が転移に関与するかを検討する。 また、H24年度に同定したPSGL-1の過剰発現により活性化するシグナル伝達径路とPSGL-1による細胞死回避機構について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
主にマウスの購入、PSGL-1の過剰発現およびノックダウン細胞株作成のための分子生物学的試薬、細胞培養試薬、さらにシグナル伝達経路同定のための抗体、蛋白実験に関わる試薬などに用いる。
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