研究課題
本研究は、申請者が開発中の電解酸素発生装置(Oxygen Productive Electrode;OPE)システムで、①なぜ植物プランクトン増殖抑制が認められるのかについてその詳細な機構を培養実験と分子生物学的手法を用いた遺伝子発現解析から明らかにすること、②OPE電極の更なる効率化(耐久性、コスト)の検討を行い二酸化炭素をほとんど放出しないシステム構築を通じ水源池および浄水場での安価で安定的な酸素供給・藻類増殖抑制技術の開発と適用実現を目指すこと、を目的に実施するものである。H24年度は、植物プランクトン増殖抑制機構の解明に関する培養実験による検討、およびOPE電極の装置構造改良ならびに電極素材の検討を行った。増殖抑制機構の解明においては,OPE曝気系、純酸素曝気系、空気曝気系、コントロール系(曝気無)の各曝気条件下でのラン藻類および緑藻類を用いた室内培養実験を行い、経時的に分析用藻類試料を分取し、細胞数およびクロロフィル濃度測定から各藻類の増殖について計測した。その結果、OPE曝気系でラン藻類のみならず緑藻類でも増殖抑制が認められることが判明した。ただし、実験開始から増殖が抑制される時間については、藻類種により異なる可能性が示された。また、藻類細胞からゲノムDNAおよびRNAを抽出し定量PCRによる遺伝子発現解析に用いるための試料を得た。OPE電極の改良においては,電極材料の検討を行い、白金に代わる電極素材についての目処をつけた他、耐久性を上げる為の改良を実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究申請の研究目的は、申請者が開発中の電解酸素発生装置(Oxygen Productive Electrode;OPE)システムで、①なぜ植物プランクトン増殖抑制が認められるのか、その詳細な機構を培養実験と分子生物学的手法を用いた遺伝子発現解析から明らかにする、②OPE電極の更なる検討(耐久性、コスト)を行いエネルギー消費が最小のシステムを構築し、水源池や浄水場での安価で安定的な酸素供給・藻類増殖抑制技術の開発と適用実現を目指す、である。H24年度は、これまでにデータを得ていたラン藻類以外の緑藻類に対してもOPE曝気系で増殖抑制効果が認められること、藻類種により増殖抑制効果が現れる時間が異なる可能性があること、OPE電極のコストダウン及び耐久性向上に関する知見蓄積ができたこと、など研究目的に掲げた内容に関して順調にその結果を蓄積出来た、と判断している。
研究最終年であるH25年度は,H24年度より継続しOPE電解酸素供給がなぜ植物プランクトン増殖抑制効果を発揮するのか、にについて培養実験と分子生物学的手法を用いた遺伝子発現解析から明らかにする。また、開発した新OPE電極を用いたOPE酸素供給装置の評価を行い、低エネルギーで運用可能な水浄化システム構築に資するデータを集積し、二酸化炭素をほとんど放出しないシステム構築を通じ、水源池および浄水場での安価で安定的な酸素供給・藻類増殖抑制技術の開発と適用実現を目指す。
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Environmental Technology
巻: 34 ページ: 1027-1033
10.1080/09593330.2012.733418