最終年度は、を松江市近郊の農村の中に設置した冒険遊び場を核として、農作業と遊びを融合させた体験を年間を通じて行う中で、大学教員の協力のもと、新たに農作業・自然体験活動に数種の学術調査を取り入れ、ともに学ぶ場をつくることが生産者と消費者に及ぼす影響を考察した。 遊び要素を取り入れた農作業・自然体験活動に学術調査を加えることで、生産者にとって新たなことを学ぶ機会になり、西長江の持つ価値を改めて実感できたことがわかった。また、学術調査による知識や技術の向上から調査の意義を感じ、消費者との交流で会話のきっかけが生まれる等の効果も見出された。生産者が感じる活動の問題点として、①担い手不足、②参加者減、③外部依存、④交流停滞が抽出された。とくに、④交流停滞では、学術調査を通じて学ぶ場をつくることで驚きや感動を共有し、交流のしやすい環境に改善できると考えられた。今年度の活動に参加した親子の多くは、他出家族(他郷に他出している子・孫等)からの呼びかけが参加のきっかけとなっており、他出家族の存在が参加者の増加につながっていた。また、メンバーの身内でもある他出家族は、高齢化にある地域の次世代として期待されるだけでなく、消費者の視点も持つことからから、参加者が求める活動の手がかりをメンバーに寄与することができると考えられた。 研究期間全体を通じて構築した、遊び場・農的活動の場は、大人やティーンズ、障がい者の居場所づくりや乳幼児家庭の子育て援助、災害・犯罪に強い地域づくりなど地域全体で多角的なまちづくりを目指す足がかりとなることが明らかになった。
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