研究課題/領域番号 |
24658280
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊月 亜有子 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 講師 (40332051)
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研究分担者 |
油谷 幸代 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 研究員 (10361627)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 土壌酵素活性化解析 |
研究概要 |
本研究では、特定悪臭物質を中心とした有害有機物質について、分解能を有すると期待される微生物産生の酵素群十数種類の活性化の有無を測定し、各有害有機物質の分解に有用な酵素群の同定を行った。具体的には、有害有機物質をその有機化学的構造特性から、有機溶媒系、硫黄系、アルデヒド系、アミン系、低級脂肪酸系悪臭物質と大きく5種類に分別し、特に土壌環境汚染に関係があると考えられる物質を選定した。また、微生物産生の酵素群の中で、環境浄化に関与すると推定される酵素群の選定を行った。さらに、選定された各有害有機物質が汚染土壌環境において存在する濃度を測定し、土壌培養条件の検討を行い、添加する有害有機物質量を0-2%、培養温度を30℃、培養期間を0-21日とした。土壌酵素活性化測定条件(緩衝液のpH、基質濃度、反応時間、温度、静菌剤等)は規定の条件とした。 研究分担者は、様々な条件下で測定された複数の酵素活性化データを統合して扱うことができるように、データの標準化を行った。特に、ネットワーク解析のためには、離散型、もしくは連続型の数値データを必要とすることからも、測定データを数値化する手法の確立を行った。さらに、標準化された酵素活性化データは、活性化の有無という2値データ、もしくは活性化の増大を示した離散型データになることが予想されるため、複数の属性について離散型データを持つ変数間の関連性を推定する手法の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献を参考にして条件を検討したため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、コンポストの有害物質分解能に注目し、有害物質分解時に機能する微生物産生酵素の特定、および環境浄化機能を有する酵素の活性化に必要な条件等の探索を行っていく。具体的には、コンポストの持つ特定悪臭物質分解能を研究対象とし、コンポスト内の微生物由来の酵素活性化反応を測定することで、有害物質分解能を持つ酵素群の同定を行う。さらに、測定された酵素活性化データにバイオインフォマティクス技術を適用し、酵素群間の活性化相互作用を明らかにすることで、コンポストの悪臭物質分解能をシステムとして解明していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
有害有機物質に分解能を示す酵素群の活性化測定を行う。有害有機物質を含む未分解土壌に、種菌として有害有機物質を分解したと思われる土壌(分解土壌)を添加し、前年度に決定した条件で培養する。その後、各酵素群についての活性化測定を行う。また、PCR-DGGE法を用い、土壌環境中に存在する微生物群集の解析を行う。土壌環境中では多数の微生物群が存在し、培養による単離同定が困難であることから、環境中に存在する微生物を群集として全体像を把握し、優占微生物種の比較、時系列による微生物群集の変化等を明らかにする。研究分担者は、開発した手法を、測定された微生物産生酵素群の活性化データへ適用し、測定された酵素間の相互作用を推定する。
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