研究課題
平成26年度は、主として新規金属結合蛋白質のX線結晶構造解析による、蛋白質・金属間の相互作用、配位環境の解明を行った。以下に、概要を述べる。①クルマエビ由来血漿型新規フェノールオキシダーゼのX線結晶構造解析フェノールオキシダーゼ(以下PO)は、幅広い生物種に存在する銅含有酵素である。二核銅中心とよばれる共通の活性中心を持つファミリー(タイプIII銅蛋白質)に属する。節足動物のPOは、生体内では自然免疫の主たる構成成分として生体防御に関与するが、食用甲殻類においては、ポストハーベストにおける本酵素による褐変(黒変)が問題となっている。本研究において、我々はクルマエビにおいて、これまで未同定の血漿型新規POを見いだし、X線結晶構造解析による立体構造の解明を試みた。その結果、1.8A分解能までの構造解析に成功し、甲殻類由来POとしては初となる立体構造を明らかとした。本構造解析により、二核銅と6残基のヒスチジンから成る活性中心の詳細な構造と、基質のアクセスに関わる複数の疎水性アミノ酸残基のジオメトリーに関する新たな知見が得られた。②ザクロ種子由来クラス3キチナーゼの立体構造植物におけるキチナーゼは、その抗菌活性から生体防御関連蛋白質、ストレス蛋白質として知られている。本研究では、ザクロ種子に豊富に含まれるカルシウムを追跡する中で見いだした、カルシウム親和性蛋白質分子としてのキチナーゼに着目し、その構造活性相関の解明を試みた。大腸菌発現系により得られたザクロキチナーゼを用い、X線結晶構造解析を行った。1.5A分解能での構造解析の結果、詳細な立体構造と、一分子あたり3-5個のカルシウムイオン結合部位を解明した。カルシウム結合部位は、すべて分子表面に存在し、酸性アミノ酸との配位構造が明らかとなった。
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