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2012 年度 実施状況報告書

鉄硫黄クラスター含有架橋酵素の機能解析と新規環状生理活性ペプチドの創製

研究課題

研究課題/領域番号 24658288
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関大阪大学

研究代表者

岡島 俊英  大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10247968)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード環状ペプチド / 鉄硫黄クラスター / コンビナトリアルケミスト リー / チオエーテル架橋 / プロテアーゼ阻害剤
研究概要

環状ペプチドライブラリーの構築に用いる上で、発現量と反応性において優れたORF2およびγサブユニットのクローンを得るため、各種の菌種に由来した両タンパク質の発現系を構築した。まず、Psudomonas putidaでは、PCRによってORF2全長遺伝子を得た。また、γサブユニットの最初の架橋形成領域(短縮型γ)遺伝子は、オリゴヌクレオチドの連結によって、生合成した。高温条件下で増殖可能なPolymorphum gilvumについては、いずれも遺伝子合成した。得られた各遺伝子の大腸菌発現系を構築し、共発現に成功した。Ps. putida ORF2では、短縮型γとともにORF2タンパク質が、これまで解析してきたParacoccus denitrificansとほぼ同レベルに大量に発現した。一方、Polymorphum gilvum ORF2タンパク質/短縮型γの共発現においては、ORF2タンパク質は大量に発現しているものの、短縮型γの発現量は検出限界以下であった。試料をヨードアセトアミド処理し、質量分析した結果、Pa. denitrificans およびPs. putidaのいずれにおいても、短縮型γの架橋形成は起きていないことが判明した。さらに、ORF2/短縮型γを嫌気下精製し、試験管内で鉄硫黄クラスターを再構成させると、S-アデノシルメチオニンとジチオナイト添加によって架橋形成が完結した。以上の結果より、大腸菌内の鉄硫黄クラスター形成等に問題があり、in vivoでの架橋形成が不完全であることが判明した。反応性と発現量については、Pa. denitrificansないしPs. putidaに由来するORF2クローンが現時点では最適であった。これらの結果は、試験管内では様々な環状ペプチドライブラリーを構築しうることを示しており、本研究の遂行に際して重要な成果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複数の菌種に由来したORF2/短縮型γの共発現系構築を構築し、発現量とγサブユニットの架橋形成において優れた発現系の選択に成功している。また、in vivoの架橋形成システムは改善が必要であるが、試験管内の架橋形成システムの構築には成功しており、架橋形成の評価システムも構築することができた。本年度の研究成果は環状ペプチドライブラリーの構築に向けた重要な第一歩となっている。

今後の研究の推進方策

引き続き、in vivoの架橋形成システムの構築を進める。その一方で、試験管内の反応によって環状化ペプチドライブラリーの構築を行うために、リーダー配列-ループ構造の下流にTEVプロテアーゼやEGFPを連結して発現させることができるか解析する。さらに、ORF2との共発現系において、上記と同様にチオエーテル架橋構造が形成されているかどうか、ウエスタンブロットや高分解能質量分析によって解析する。環状ペプチドライブラリーの機能スクリーニングを行うためには、環状化ペプチド領域が切り出される必要があるが、TEVプロテアーゼとの融合体として発現し、TEVプロテアーゼの認識部位を環状化ペプチドの前後に導入し、TEV自身によって切り出されるような構築を作成する。発現効率とTEVによる切り出しなどが予定通りに行かない場合には、ループ構造の長さを調節したり、大腸菌宿主を選択することで、発現系を最適化する。
また、結晶化による構造解析を含め、選択したORF2タンパク質の反応機構の解析を詳細に行う。嫌気条件下でORF2タンパク質をHis-tagカラムによって精製し、濃縮後に各種の結晶化スクリーニングを行い、結晶化条件を決定する。得られた結晶は、SPring8においてX線回折データを取得し、研究室に現有の計算機サーバーを用いて解析する。また、上述のγサブユニット-EGFP融合タンパク質など様々な基質を用いて、試験管内における反応系が構築できた場合には、各種温度、pHなどで反応速度がどのように変化するか測定し、安定性や反応に関与する解離基について解析する。

次年度の研究費の使用計画

比較的順調に研究が進行したため、想定よりも支出を押さえることができた。こられの予算は、次年度の研究計画において、各種の遺伝構築を拡充して行うためのオリゴヌクレオチドの購入費として、ORF2タンパク質の結晶化を時重点的に行うための試薬費として活用する予定である。その他の翌年度以降の研究費は、ほぼ予定通り進行している研究に、計画通りに使用したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] Functional Analysis of Intra-peptide Thioether Forming Enzyme Essential for Biogenesis of Quinohemoprotein Amine Dehydrogenase2013

    • 著者名/発表者名
      H. Ito, T. Nakai, T. Okajima, K. Kobayashi, Y. Takahashi, H. Hori, M. Tsubaki, K. Tanizawa
    • 学会等名
      16th SANKEN International Symposium
    • 発表場所
      Osaka
    • 年月日
      20130122-20130123
  • [学会発表] キノヘムプロテイン・アミン脱水素酵素の生合成に必須なペプチド分子内チオエーテ ル架橋形成酵素の機能解析2012

    • 著者名/発表者名
      中井忠志、伊藤寛人、岡島俊英、小林一雄、高橋康弘、堀洋、鍔木基成、谷澤克行
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20121214-20121216
  • [備考] QHNDH (quinohemoprotein amine dehydrogenase)

    • URL

      http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/smb/QHNDH.html

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公開日: 2014-07-24  

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