研究課題
緑藻Botryococcus brauniiはボトリオコッセンとよばれるトリテルペン系炭化水素を細胞外に分泌するというきわめてユニークな性質を持つが、その最大の特徴である炭化水素分泌機構については不明である。この研究では、B. brauniiのトリテルペン合成酵素遺伝子SSL1, 2, 3を導入し、ボトリオコッセンを合成・分泌できる出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの作製を目標とする。まず、SSL1, 2, 3をS. cerevisiaeに挿入し、それらが正常に発現および小胞体にターゲティングすることを、ウエスタンブロッティング法、蛍光タンパク質融合型ボトリオコッセン合成酵素の局在で確認した。そして、これらの遺伝子を導入したS. cerevisaeから全脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィーおよびガスクロマトグラム質量分析計で調べたところ、炭素数30のボトリオコッセンのシングルピークを確認した。B. brauniiから抽出したボトリオコッセンはメチル化されたものを含む炭素数30から34の混合物となるが、S. cerevisiaeから炭素数30の単一の標品を得られたことは、今後このS. cerevisiaeを純粋なボトリオコッセン供給源として利用出来る点できわめて有用な発見である。つぎに、この酵母が細胞内のどこにボトリオコッセンを蓄積するかを電子顕微鏡で調べることにした。しかし、S. cerevisiaeはトリアシルグリセロールからなる脂質滴を形成するために、ボトリオコッセン由来の脂質滴と形態的な区別をつけられない。そこで、S. cerevisaeのトリアシルグリセロール合成関連遺伝子を破壊することで、脂質滴形成を阻害することにした。これまでに3つの遺伝子を破壊し、脂質滴形成を大幅に減らすことに成功した。
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