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2012 年度 実施状況報告書

ペプチド性医薬品創製のための新概念の構築と検証

研究課題

研究課題/領域番号 24659004
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関京都大学

研究代表者

大石 真也  京都大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (80381739)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードペプチド / 二次代謝産物 / 天然物 / 全合成 / 薬らしさ
研究概要

本研究は、微生物の二次代謝産物由来の各種生理活性ペプチドの効率的合成法を確立するとともに、抗腫瘍活性ペプチドの構造活性相関研究を通して、生物活性や生体膜透過性に求められるペプチドの性質を理解することを目的としている。平成24年度は、ペプチド性二次代謝産物の効率的化学合成法の確立に向けた検討と抗腫瘍活性ペプチドcoibamide Aの化学合成による立体配置の確定に向けた検討を行った。
まず、ペプチド結合のN-メチル化反応について、反応剤・溶媒・温度等の条件を精査し、最適な反応条件を見出した。また、以前の研究によりアミノ酸からの合成経路を確立していたヒドロキシアミジン等について、N-メチル化反応を受けないペプチド結合への保護基としての応用可能性について、omphalotin Aを研究対象として検討を行った。固相合成におけるペプチド鎖の伸長プロセスにおいて、若干の反応条件の工夫が必要であったものの、概ね良好な収率で保護ペプチド鎖を構築する条件を見出した。
また、coibamide Aの化学合成に向けた複数のアプローチについて検討を行った。まず、直鎖状ペプチドを構築後マクロラクトン化により目的のデプシペプチド構造を得るプロセスについて、固相合成工程およびマクロラクトン化の反応条件の最適化をそれぞれ行い、目的分子量に相当するペプチドを取得した。しかしながら、このプロセスでは環化収率が著しく低いことから、環状構造中のアミド結合で環化を行う新たな合成経路について検討を行った。本法では、マクロラクトン化を経るプロセスよりも、簡便かつ効率的に目的のペプチドを取得できることが判明したことから、今後各工程の最適化を経て、coibamide Aの立体配置の確定を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度の研究では、多数のN-メチルアミド結合を含むペプチドの簡便な合成に利用できる新しいプロセスの検討を行った。その結果、ヒドロキシアミジン構造を含む保護ペプチド鎖を固相樹脂上で構築可能であることをはじめとして、合成工程数を短縮するための複数の要素技術を確立することができた。また、coibamide Aの合成において、11残基からなる環状ペプチドの合成プロセスの課題を明確にし、複数のアプローチで合成の検討を行った。天然物の化学構造の決定には至っていないが、平成25年度中には天然型とその誘導体の合成を実現できるとともに、構造活性相関研究への展開を行うことが可能である。
全体を通して、3年計画の1年目で予定していた実施計画通りの進捗が達成できたと考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き、ペプチド性二次代謝産物の効率的化学合成法の確立と抗腫瘍活性ペプチドcoibamide Aの立体配置の確定に向けた検討を行う。
まず、包括的N-メチル化反応においてメチル化を受けないペプチド結合への保護基の開発について、平成24年度までに検討した修飾基以外についても検討を拡げ、汎用性が高い合成プロセスを確立する。また、coibamide Aの立体配置の確定を目的として、環化反応を行う位置をさらに他のアミド結合にも拡張するとともに、各フラグメントを縮合する際のエピ化を最小限にする反応条件を精査する。得られたエピマーを含む各誘導体をNMR解析と細胞増殖抑制活性の評価に付し、天然物との同一性を確認する。さらに、N-メチル基の置換様式の異なる各種誘導体を合成し、構造活性相関研究へと展開する。

次年度の研究費の使用計画

複数のペプチド結合に対し同時にN-メチル基を付す反応プロセスの確立において、固相樹脂上での反応効率が想定よりも進行しにくいことが判明し、液相反応において反応条件を精査する必要が生じた。各種反応条件の調査が進んだことから、次年度以降も引き続きペプチド性二次代謝産物の効率的合成法の確立について検討を行う。
《物品費》研究のための物品費として、ペプチドの化学合成のための試薬類(精製に用いるシリカゲル等を含む)、固相合成用試薬(樹脂等)、有機溶媒(反応溶媒、クロマトグラフィー用有機溶媒等)、ガラス器具(反応容器等)、分離・精製に用いるHPLC カラム費用、分子プローブの機能評価・定量を行うための生化学試薬類、汎用する器具類を購入する予定である。
《旅費》情報収集を目的とした学会参加、および、学会における研究成果発表に充当する予定である。
《その他》論文投稿料、成果発表のための学会参加費、機器修理費、分析依頼料に充当する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis and Investigation of Novel Metal Complexes of Deferriferrichrysin2012

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y, Oishi S, Kobayashi K, Ohno H, Tsutsumi H, Hata Y, Fujii N.
    • 雑誌名

      Peptide Science

      巻: 2012 ページ: 181-182

    • 査読あり
  • [学会発表] デフェリフェリクリシン誘導体の合成と構造機能相関研究への応用2013

    • 著者名/発表者名
      小林由佳、大石真也、小林数也、大野浩章、堤浩子、秦洋二、藤井信孝
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      20130328-20130330
  • [学会発表] Synthesis and investigation of novel metall complexes of deferriferrichrysin2012

    • 著者名/発表者名
      小林由佳、小林数也、大石真也、堤浩子、秦洋二、大野浩章、藤井信孝
    • 学会等名
      第49回ペプチド討論会
    • 発表場所
      鹿児島県民交流センター(鹿児島県)
    • 年月日
      20121107-20121109
  • [学会発表] デフェリフェリクリシンの合成と新規金属キレート錯体の探索2012

    • 著者名/発表者名
      小林由佳、小林数也、大石真也、大野浩章、堤 浩子、秦洋二、藤井信孝
    • 学会等名
      第44回若手ペプチド夏の勉強会
    • 発表場所
      ロッジ舞浜(大阪府)
    • 年月日
      20120805-20120807
  • [学会発表] デフェリフェリクリシンの合成と新規キレート錯体の探索2012

    • 著者名/発表者名
      小林由佳、小林数也、大石真也、堤浩子、秦洋二、大野浩章、藤井信孝
    • 学会等名
      第7回日本ケミカルバイオロジー学会年会
    • 発表場所
      京都大学(京都府)
    • 年月日
      20120607-20120609
  • [備考] 所属研究室ホームページ

    • URL

      http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/seizo/

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公開日: 2014-07-24  

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