研究課題
前年度の結果から、直線性の飽和にはイオン化の飽和が関与していることが示唆された。そこで、まず200 pg/mL~200 μg/mLの範囲でフェニトインの希釈系列を調製し、直線性を調べた。SRMのトランジションには、m/z 251→m/z 102、m/z 252→m/z 102、m/z 252→m/z 103、m/z 253→m/z 102、m/z 253→m/z 103、m/z 253→m/z 104を用い、各トランジションにおけるピーク面積比をプロットした。このときのプロトン付加分子の強度を比較すると、m/z 251を100としたときの相対強度は、それぞれm/z 252が16.9、m/z 253が1.67であった。しかしながら、200 pg/mL~20 μg/mLの範囲ではいずれもR2=0.999以上の良好な直線性を示したものの、その10倍ではいずれのトランジションでも飽和した。以上の結果から、同位体ピークを用いて広範な直線性を確保することは難しく、ユニバーサルTDMを達成するには、別の手段が必要であることが判明した。次に、がん化学療法レジメンで用いられる薬物の一斉分析法の構築を試みた。モデルとして用いたレジメンでは、抗がん薬であるシスプラチンの血中濃度が0.2~5 μg/mL程度になるが、併用されるアプレピタント、グラニセトロン、メトクロプラミド、デキサメタゾン、フロセミドがそれぞれ0.03~3 μg/mL、0.2~50 ng/mL、3~500 ng/mL、0.2~5 μg/mL、0.1~5 μg/mLと予想され、物性も大きく異なる。誘導体化、ポジネガスイッチングを駆使して分析法を検討し、すべての薬物の同時分析に成功した。しかしながら、イオン化の飽和と思われる現象により、分析法の信頼性を確保できていない。現在、分析条件の最適化により、課題の解決を試みている。
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