研究概要 |
本研究では、色素増感型太陽電池の光増感性材料へ、アミノベンゾピラノキサンテン系色素(ABPX)を応用することを目的として、新たなABPX誘導体の合成とそれらの物性解析を行った。まず、ABPXと酸化チタン電極との分子間相互作用の抑制することで、光電流変換効率の向上させるため、ABPXのアルキル鎖を系統的に長鎖構造とした ABPX 誘導体を設計した。続いて、相当するベンゾフェノン誘導体を、無水フタル酸とテトラアルキル鎖を導入したアニシジン誘導体から、Friedel-Craftsアシル化反応により合成を行った後、レソルシノールとメタンスルホン酸中で、95℃で2時間半、溶融加熱反応を行うことで、ABPX01(エチル体), 02(プロピル体), 03(ブチル体), 04(ヘキシル体), 05(オクチル体)を得た。物性解析の際、ABPXはキサンテン環部位に対しベンゼンカルボン酸部位の向きの異なったcis体とtrans体の立体異性体を形成するため、cis体とtrans体に分けて解析を行った。その結果、ABPX01 (cis体:φf = 0.16, trans体:φf = 0.15)、ABPX02 (cis体:φf = 0.18, trans体:φf = 0.17)、ABPX03 (cis体:φf = 0.21, trans体:φf = 0.19)、ABPX04 (cis体:φf = 0.28, trans体:φf = 0.25)、ABPX05 (cis体:φf = 0.28, trans体:φf = 0.28)で、φf はアルキル側鎖をエチル基からオクチル基まで伸長させることで約2倍以上に向上し、アルキル側鎖の立体障害により色素間の分子間相互作用が減少したことに起因すると推定された。
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