研究課題
ナノDDS製剤/組換えタンパク質製剤等の開発において、血中からの速いクリアランスがしばしば問題となる。現状ではポリエチレングリコール(PEG)修飾が多用されており、これに代わる良い手法がない。本研究は、長期血中滞留性をファージに付与できる低分子ペプチドをファージディスプレイペプチドライブラリーから選別し、これら高分子製剤の長期血中滞留性を簡便に付与する方法論の確立を目指した。これまでに、5残基のランダムなアミノ酸配列からなる直鎖状ペプチドを提示するファージライブラリーをマウスに尾静脈内投与し、24時間循環させた後、残存ファージを回収することにより長期血中滞留性ファージを回収した。回収率は232 倍であった。この濃縮ファージをクローン化し、得られた30 個のファージクローンに発現しているアミノ酸配列をDNA 解析により決定し、高頻度に発現が認められる6 種類の候補ペプチドを得た。クローン化した各ファージの血中滞留性についてin vivoバイオパニングと同様の方法で評価した結果、最終的に長期血中滞留性を示す3種類のペプチドの同定に成功した。次に、長期血中滞留性ペプチドのリポソームDDSへの応用を図るため、3 種類のペプチドについてそれぞれ脂質誘導体を合成した。各ペプチド修飾リポソームを調製し、マウスにおける体内動態を検討した結果、脾臓における捕獲の回避と血中滞留性の上昇傾向が観察されたが、リポソームの凝集が見られたことから、リポソーム化にはさらなる検討が必要である。しかしながらこれらのペプチドを発現するファージ自体は長期血中滞留性を示すことから、得られたペプチドをタンパク製剤などへ応用できる可能性は十分にあることが示唆された。
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PLoS One.
巻: 8 ページ: e67550
10.1371/journal.pone.0067550.