研究課題/領域番号 |
24659022
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
小椋 康光 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (40292677)
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研究分担者 |
阿南 弥寿美 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (40403860)
徳本 真紀 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (90614339)
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キーワード | セレン / ICP-MS / セレン糖 / 表面プラズモン共鳴 / スペシエーション / 尿 |
研究概要 |
尿中のセレン糖を検出するため、セレン糖が1ß-methylseleno-N-acetyl-D-galactosamineという構造であることから、その構造内の糖骨格に着目し、ダイズレクチン(SBA)、ドリコスマメレクチン(DBL)および小麦胚レクチン(WGA)を利用した検出系の構築を試みた。最初にHPLCと誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を組み合わせたLC-ICP-MSにより、これらレクチンとセレン糖との相互作用を検討した。しかし、LC-ICP-MSで測定可能な相互作用は検出されなかった。そこで、レクチンを表面プラズモン共鳴装置(SPR)のセンサーチップに固定し、セレン糖やその類縁化合物であるN―アセチルガラクトサミンやN―アセチルグルコサミンとの相互作用を測定した。SBAを固定したセンサーチップを用いたところ、セレン糖にわずかに反応したものの、定量的な検出には至ることができなかった。しかし、レクチンを用いてセレン糖を検出するという評価系の構築には成功したものと考えている。また研究の過程で生体試料中に未知のセレン代謝物の存在が確認できたため、その同定も併せて実施したところ、セレノシアン酸という新たなセレン代謝物の同定に成功したことは望外の成果であった。当初企図したレクチンによるセレン糖の検出は、予想通りチャレンジングな課題であり、必ずしも想定した結論を得るには至らなかったが挑戦的萌芽研究の成果としては意義のあるものであったと自己評価している。今後可能であれば、より多くのレクチンを本研究で構築した評価系を用いてスクリーニングし、セレン糖の定量的分析に供することが可能なレクチンを探索したい。また、それを用いた簡便なオンサイト分析法開発への挑戦も継続して行きたいと考えている。
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