研究課題
若年性の筋萎縮側索硬化症(ALS)の原因タンパク質として sigma-1 受容体(R)(E102Q) の変異が見つかった。本研究では神経芽腫細胞 neuro2A 細胞にsigma-1R(E102Q)遺伝子を導入して、小胞体ストレスの誘導とミトコンドリアATP産生に対する変異体の影響を検討した。ミトコンドリア ATP産生はsigma-1R(E102Q)の細胞内凝集に伴って、有意に低下した。さらに、通常は核内に存在するTDP-43 が細胞質に漏出し、TDP-43 のユビキチン化も促進された。原因として、 ATP 低下に伴い、プロテオソームによるタンパク質分解系が障害されていることが示唆された。一方、小胞体ストレスについて検討した結果、sigma-1R(E102Q) の過剰発現では小胞体ストレスマーカーである PERK、IRE1 の発現やリン酸化状態には変化がなく、変異体の凝集自体が小胞体ストレスを誘導することはないと考えられる。さらに、小胞体ストレスを誘導する tunicamycin の存在下においても、小胞体ストレスを増悪することはなかった。しかし、LC3-II の発現を指標にしてautophagy を検討したところ、tunicamycin存在下でのsigma-1R(E102Q)の発現は autophagy を著しく促進し、その結果アポトーシスを誘導することが明らかとなった。最後に、ATP 低下が神経細胞変性の引き金となることを確認するために、TCA 回路の基質で解糖系も刺激するmethyl pyruvate の効果を検討した。予測した通り、methyl pyruvate の処置はsigma-1R(E102Q)誘導による TDP-43 の核外漏出と autophagy を有意に抑制した。本研究は、sigma-1R(E102Q)変異体の発現は徐々に細胞内ATP 産生を低下させ、小胞体ストレス下において神経細胞死を誘導することを明らかにした。
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