研究課題
対象とする既承認薬に関しては抗AD作用が知られている、エタネルセプト、スタチン類、カルシウム拮抗薬DHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミンE、ビタミンCなども対象とした。対象既承認薬等により誘導される遺伝子を様々な条件で同定し、神経細胞、グリア細胞など様々な細胞を用いると同時に、βアミロイドを発現している細胞なども用いた。興味深い遺伝子に関しては、ADに関する細胞評価系にその既承認薬を作用させ効果が見られるかを検討し、AD動物モデルを用いてその既承認薬のβアミロイド量、神経細胞死、記憶学習能力に対する効果を調べ有用な既承認薬の絞り込みを行った。ADのモデルマウスでの効果、疫学などの臨床的なエビデンスの強さ、安全性・投与しやすさ、特許環境などを絞り込みのポイントとし、ヒトでの安全性や体内動態が確認されているという既存薬の利点を活かすために周辺化合物の合成を行った。DDS技術は、医薬品を患部へ特異的に運搬するために医薬品を修飾する技術である。目的化合物をナノ粒子に封入し、その粒子表面を修飾しターゲッティングする技術は、DDSにとって大変有用である。従来の技術では親水性の高い化合物は封入できなかったが、最近我々は鉄や亜鉛イオンにより不溶化することにより、親水性の高い化合物を封入する方法を確立した(この方法により血管新生作用のあるPGE1を血管傷害部位へターゲッティングすることに成功し、現在臨床試験を行っている)。この技術を使えば、ほとんどの化合物をナノ粒子に封入出来る。また我々はナノ粒子表面を癌細胞で特異的に発現しているタンパク質に対する抗体でコートし、ナノ粒子を癌組織へ特異的に送達することに成功している。そこで本研究において我々は、ナノ粒子を脳へ送達させる技術を確立し、上述の研究でリストアップした既存薬の脳へのターゲッティングを目指した研究を行ったが、成功には至らなかった。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
Drug Metab. Pharmacokinet
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