研究課題/領域番号 |
24659038
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小池 千恵子 立命館大学, 薬学部, 准教授 (80342723)
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研究分担者 |
小西 聡 立命館大学, 理工学部, 教授 (50288627)
殿村 渉 立命館大学, 理工学部, 助教 (50581493)
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
下ノ村 和弘 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80397679)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 視覚 / 網膜 / 電気生理学 / マルチ電極アレイ / 神経回路 |
研究概要 |
脊椎動物網膜は階層構造を持ち、光信号は視細胞で神経シグナルに変換された後、最終段の神経節細胞に至る過程で精密な情報処理を受ける。申請者らは三次元多点電極アレイ(MEA)を作製し網膜内細胞外電位の計測を行うことにより、正常網膜内層からの振動性シグナルの検出に初めて成功した。本シグナルは網膜外からは計測されないことから、正常網膜の高次階層において抑制されるものと考えられる。本研究では、振動性シグナルの発生・抑制機構を明らかにしたいと考えている。しかしながら、昨年度末に学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、電極作成装置を買い替えなくてはならなくなってしまった。より良い三次元電極が作成できると考えて別の高性能の装置を共同研究者が購入したが、新規装置で作成した三次元電極ではノイズがどうしても大きく、本来の解析を行うことができないというトラブルに現在見舞われている。 一方でマルチ電極アレイ装置の確立がより進展し、市販電極用いた解析自体は非常に上手く進んでいる。ノイズが乗らない還流系の確立も完成し、データ解析もフーリエ変換のみならず、ラスターブロット、インタースパイクインターバル解析など様々な方法を修得した。さらに多ニューロン解析を専門とする研究者との新たな共同研究も開始した。疾患モデルマウスの網膜について平面電極での解析を進めているが、網膜回路の異常のレベルにより周期性がある自発発火と周期性がない自発発火が存在することを見いだし、さらに周期的な自発発火の発生メカニズム解析を進めている。三次元電極の作成が問題だが、共同研究者の電極はインピーダンスが低い優れたものであったので、できるだけ共同研究者のものを使用したいと考えている。三次元電極以外は良く進展しているので、電極が得られれば研究自体は急速に進むものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度末に学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、電極作成装置を買い替えなくてはならなくなってしまった。より良い三次元電極が作成できると考えて新たな装置を共同研究者が購入したが、新規装置で作成した3次元電極ではなぜかノイズが極端に大きく、本来の解析を行うことができないというトラブルに見舞われている。 それ以外の点としては、マルチ電極アレイ装置の還流系も確立し、市販電極を用いた解析自体は非常に上手く進んでいる。データ解析の多角的な手法も修得することもでき、データが得られれば解析は速やかに進められる状況である。市販の平面電極を用いて疾患モデルマウスの網膜を解析することにより得られる周期的な自発発火の発生メカニズム解析も進んでおり、新たな知見の蓄積が進んでいる。後は、共同研究者の三次元電極の作成のみの問題となっている。共同研究者の電極はインピーダンスが低い優れたものであったので、新しい装置による作製法確立を待ちたい。電極の問題が解消された場合には他の問題はほぼ解消することができるので、一気に研究は進められると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の遅れは、昨年度末に学内の火事により共同研究者の施設が被害を被り、よかれと思い購入したより優れた性能をもつ新しい装置で作成した電極が、ノイズが大きすぎて解析不可能なレベルであることによる。一方で、我々は疾患モデル網膜で得られた周期性自発発火の発生メカニズムを平面電極で行っており、こちらの解析手法や考え方は、野生型網膜における三次元電極を用いた解析結果へ直接応用できるものである。従って、疾患モデル網膜を用いて解析自体をより押し進める一方、三次元電極でのノイズ発生の原因を追及し、解析ができるよう鋭意努力する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は三次元電極の作成に支障が出てしまったため研究に遅れが生じることとなり、研究費を次年度に繰り越すことになった。 繰り越し予算は共同研究者の電極作成や、疾患モデルマウスでの周期性自発発火の解析に使用する。また平成25年度は、浜松ホトニクスとの投射解析を進めていく予定であり、浜松ホトニクスとの解析に必要な光照射装置の作成デザインを現在行っているので、本予算でその一部を支払うことになると考えている。
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