研究課題/領域番号 |
24659045
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上野 義仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20250467)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 人工核酸 / DNA / RNA / 核酸医薬 / 遺伝子 |
研究概要 |
ボロン酸誘導体と各種塩基をクロスカップリングさせることにより、各種ヌクレオシドアナログを合成することを念頭に置き、そのボロン酸誘導体の前駆体となる(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolの合成について検証した。(S)-1-phenyl-1,2-ethanediolを原料とし1) 酢酸中でのNISによるヨード化、2) 酢酸中でのI2、NaIO3、NaIO4によるヨード化、3) 水酸基をアセチル基で保護した後のI2、NaIO3、NaIO4によるヨード化、4) 水酸基をアセチル基で保護した後のI2と亜硝酸銀によるヨード化、5) 水酸基をTBDMS基で保護した後のI2と亜硝酸銀によるヨード化、6) 水酸基遊離状態でのI2と亜硝酸銀によるヨード化、7) 塩化鉄存在下でのアセトニトリル中NISによるヨード化、8) CH2Cl2中でのジブロモイソシアヌル酸による臭素化、9) CH2Cl2中でのブロモジメチルスルホニウムブロミドによる臭素化を行ったが、いずれも目的物を得ることが出来なかった。そこで、マンデル酸を出発原料として、カルボン酸をエチルエステル化した後に、CH2Cl2中でI2、AgOTfでヨード化し、続いてエステルを還元することで、目的とする(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolを得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolの合成の為の条件検討に時間を要した。しかし、目的とする(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolが合成できたので、今後、実験が飛躍的に加速する。
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今後の研究の推進方策 |
(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolの合成の為の条件検討に時間を要した。しかし、目的とする(S)-1-(p-iodophenyl)-1,2-ethanediolが合成できたので、今後、当初の実験計画に沿って実験を加速させる。 1) 4種のヌクレオシドアナログの合成法の確立: A, G, C, Tの各ユニットの合成を行なう。ベンゼン環と各塩基は二価の銅イオンを用たチャン・ラム反応により縮合する。2) 合成したヌクレオシドアナログの性質検討: 合成した四種のヌクレオシドアナログのUV測定、蛍光測定、モル吸光係数の算出を行う。3) アナログから成るオリゴマーの合成: 上述した方法で合成した各種アミダイトを用い、DNA/RNA自動合成機によりオリゴマーを合成する。部分的にアナログを含む配列及び全てがアナログから成るオリゴマーを合成する。縮合剤、縮合時間、アミダイトの濃度等の合成条件を検討し、最適な合成条件を設定する。合成したオリゴマーの構造確認として、MALDI-TOF/MSにより分子量を測定する。オリゴマーのハイポクロミシティーを算出する。4) オリゴマーの二重鎖形成能、塩基識別能、高次構造の検討: 合成したオリゴマーの二重鎖形成能を50%融解温度 (Tm) を測定することにより、比較検討する。加える塩濃度を変化させ、二重鎖形成におけるイオン強度の影響について検証する。オリゴマーの濃度を変化させ、ファント・フォッフ プロットを行い熱力学的パラメーターを算出し、その安定性を熱力学的な観点より議論する。塩基選択性を検証する為に、ミスマッチを相補な位置に導入した二重鎖のTmを測定し、その安定性を議論する。5) オリゴマーの各種ヌクレアーゼに対する耐性の検討: 合成したオリゴマーの各種ヌクレアーゼに対する抵抗性を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、有機合成試薬、有機溶媒、生化学試薬、ガラス器具を購入する。
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