本研究では、細胞膜透過能を有するアンチセンス核酸の創製を目的とし、ベンゼン環を内部に有する人工オリゴ核酸の合成を行った。(S) -マンデル酸を出発原料とし、エステル化、ヨード化、還元、シリル化を行った後に、ボロン酸誘導体へと導いた。このものと、アデニン及びシトシンを胴イオン存在下でカップリングすることにより、目的とするアデニン及びシトシンアナログの合成に成功した。アナログを中央に3個含むオリゴマーを合成し、その性質を検証したところ、アナログを含むオリゴマーは二重鎖を熱的に不安定化するものの高い塩基識別能を有することが明らかとなった。
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