研究課題/領域番号 |
24659048
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大塚 雅巳 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (40126008)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳腫瘍薬 / 脳保護薬 |
研究概要 |
現在、臨床に用いられている脳腫瘍薬、脳保護薬は10種類程度しかない。薬物の脳組織への移行性の限界のためである。抗腫瘍活性分子や細胞保護分子を脳に送り込むことができれば脳腫瘍薬や脳保護薬となりうると考え、研究代表者らは、澤田らにより開発された脳移行ペプチド(BTペプチド)に着目した。本研究では、研究代表者がこれまでに設計、合成した抗腫瘍性化合物や神経保護化合物、ラジカル消去化合物に脳移行ペプチド(BTペプチド)をはじめとする脳移行部位を連結し、新規脳腫瘍薬、脳保護薬を得ることを目的とする。 平成24年度は脳に送り込む抗腫瘍薬物としてシクロホスファミド、トラニラスト、および研究代表者らが開発したHPH化合物をとりあげ、これに連結する脳移行部位としてアミノ酸トランスポーターを介した脳移行を期待してチロシン、酸化還元系による脳移行を期待してジヒドロピリジンカルボン酸を採用した。カフェ酸誘導体とアントラニル酸からトラニラストを合成した。シクロホスファミドの3-アミノプロパノール部分にリンカーを導入した化合物を合成した。HPH化合物にはそのイミダゾール部分に脳移行部位を連結するためのリンカーを導入した。また脳に送り込む細胞保護化合物としてイノシトールリン酸にドデシル基を導入した化合物を設計し、イノシトールを出発原料に保護基の着脱を繰り返す方法で合成した。現在これらの化合物に脳移行部位を連結させる反応を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は抗腫瘍化合物および細胞保護化合物に脳移行部位を連結し、脳内で作用する機能を持たせることである。平成24年度にはシクロホスファミドへのリンカーの導入、合成したトラニラストを脳移行部位に結合させるための適切な構造変換、HPH化合物のイミダゾール部位へのリンカーの導入、タンパク質Aktに結合するイノシトールリン酸誘導体を合成した。さらに脳移行部位チロシンおよびジヒドロピリジン化合物を抗がん剤、細胞保護化合物と結合させるための適切な構造変換を行った。よっておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に抗がん剤、細胞保護剤を脳移行部位に結合させるために適した構造に変換することができた。脳移行部位も合成が完了している。25年度は両者の結合を行う。得られた化合物が抗腫瘍作用、細胞保護作用を持つかどうか検討する。また脳に移行するかを検討する。さらに抗脳腫瘍作用、脳保護作用を示すかin vivoにて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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