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2013 年度 実績報告書

ダイオキシン毒性機構の新展開:ロイコトリエンB4増加の毒性学的意義と油症との関連

研究課題

研究課題/領域番号 24659053
研究機関九州大学

研究代表者

山田 英之  九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40142351)

キーワードダイオキシン / ロイコトリエンB4 / メタボロミクス / 5-リポキシゲナーゼ / 芳香族炭化水素受容体
研究概要

ダイオキシン(2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin, TCDD) によって肝臓のロイコトリエンB4 (LTB4)が蓄積する可能性につき、より詳細な事実確認、並びに機構解明と毒性学的意義付けを目指して研究を行った。TCDDは摂餌量の低下を惹起することが古くから知られている。従って、TCDDによるLTB4増加に接餌量の低下が寄与する可能性もある。そこで、対照群とTCDD処理群に加え、摂餌量をTCDD群と同じに制限したpair-fed対照群を設けて3群間での比較検討を行った。ラット肝抽出物をUPLC-TOF-MSに付してメタボローム解析を実施した結果、LTB4はpair-fed対照群においても有意に増加したが、TCDD群においてはそれよりも遥かに顕著に増加した。従って、LTB4の増加は摂餌量の低下以外の要因が主に寄与することが判明した。
LTB4増加の機構について解析を行った結果、1)アラキドン酸をLTB4前駆体のLTA4に変換する5-lipoxygenaseの増加、並びに2)LTA4を別経路(LTC4生成)に導くLTC4 synthaseの発現抑制の2つが寄与することを見いだした。
LTB4は好中球を誘引し、それに高発現するmyeloperoxidase (MPO)から遊離される因子を介して細胞障害に関わると言われており、LTB4の増加はTCDD毒性に寄与する可能性がある。事実、TCDD処理ラット肝では、好中球集積によるとみられるMPOの有意な増加が認められ、LTB4増加とよく符合する結果が得られた。
TCDDは芳香族炭化水素受容体 (AhR)の活性化を通して、毒性を惹起するとされている。本研究の結果、TCDDの5-lipoxygenase誘導にはAhRが関与することが示唆され、この誘導は毒性に関与する可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ダイオキシンによる肝ロイコトリエンB4合成系への影響:肝障害との関連性2014

    • 著者名/発表者名
      小宮 由季子, 武田 知起, 木庭 彰彦, 石井 祐次, 菊田 安至, 内 博史, 古江 増隆, 山田 英之
    • 学会等名
      日本薬学会第134年会
    • 発表場所
      熊本市
    • 年月日
      20140328-20140330
  • [学会発表] ダイオキシンによる肝ロイコトリエンB4増加:機構とその毒性学的意義2013

    • 著者名/発表者名
      小宮 由季子, 武田 知起, 木庭 彰彦, 石井 祐次, 菊田 安至, 内 博史, 古江 増隆, 山田 英之
    • 学会等名
      フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20130913-20130914
  • [学会発表] ダイオキシンが思春期ラットの脳および排泄物のメタボロームに及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      硴塚早希, 小宮 由季子, 武田 知起, 木庭 彰彦, 古賀 貴之, 石井 祐次, 内 博史, 古江 増隆, 山田 英之
    • 学会等名
      フォーラム2013:衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      20130913-20130914

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公開日: 2015-05-28  

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