研究概要 |
受容体応答性の改変による機能選別型変異組換えfibroblast growth factor (FGF) 19タンパクの発現系の構築と機能解析を実施した。FGF19はFGF受容体(FGFR)のFGFR1c, FGFR2c, FGFR3c, FGFR4を活性化するが、C末端アミノ酸(177から216)を欠失させることにより、FGFRへの応答性が一部消失することが考えられた。そこでFGF19のC末端アミノ酸(177から216)を欠失した組換えFGF19タンパクの発現系を構築し、大腸菌から変異組換えFGF19タンパクを精製した。この変異型FGF19と非変異型FGF19タンパクをHepG2細胞に処理したところ、胆汁酸合成酵素のCyp7a1の発現低下は両方の組換えFGF19タンパクで認められたが、非変異型FGF19で有意な脂質代謝関連遺伝子の発現低下が認められる濃度で、変異型FGF19による発現低下は認められなかった。この結果はFGF19タンパクのC末端40アミノ酸の欠失により、受容体応答性に変化が生じ、脂質代謝調節関連のシグナルが減弱した可能性を示している。現在FXR欠損マウスへの変異型FGF19投与の影響を解析している。さらにFGF19のN末端に変異を導入した複数種の変異組み換えFGF19タンパクの発現系を現在構築中である。またFGFR1c, FGFR2c, FGFR3cとFGFR4並びに補助因子のβ-Klothoをサブクローニングして、FGFR活性化評価系の構築を実施している。
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