研究課題/領域番号 |
24659065
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 征三 東北大学, 薬学研究科(研究院), 分野研究員 (00011693)
|
研究分担者 |
藤原 正子 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10466534)
高橋 信行 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40588456)
|
キーワード | メタボロミクス / ELISA法 / 慢性腎臓病 / ビオチン代謝物 / LC/MS法 / NMR |
研究概要 |
25年度研究成果: 「意義・重要性」 血中のビオチン類をアビジン拮抗法によるELISA測定を行ったところ、末期腎臓病患者の血中にはビオチン類が健常者に比べて異常蓄積していることを発見した。腎機能の全廃した患者がビオチンだけでなくビオチンの代謝物も体内に蓄制させ、代謝物が活性のあるビオチンを抑制していることが示唆された。ビオチンの代謝における意義だけでなく、腎機能が減弱すると蓄積し始めた代謝物が活性ビオチンを阻害し、腎臓病の増悪因子となること、慢性的な代謝物の蓄積がエピジェネティクスな影響を持つ可能性があることが考えられた。 「成果」 上記ELISA法は未変化体ビオチンのみならず、ビオチン代謝物も含めてビオチン骨格のある化合物全体を定量している。そこで、代謝物と未変化体を区別するべくLC/MS測定系の構築を試みた。まず透析患者の血漿において未変化体ビオチンを同定と定量する系を確立した。LC/MS測定値とELISA 測定値との差が代謝物の量であるため、これを評価した結果、透析患者は健常より蓄積し、痙攣など合併症のある患者にも相関を認めた。さらに当学のナノテク支援センターにおいて、ビオチン代謝物であるビスノルビオチン、ビオチンスルフォン、ビオチンスルフォキシドを新規に合成した。これらの3代謝物についてはLCMS測定計を構築中である。患者血漿中に蓄積した代謝物の同定できればさらに腎障害との関連を追及できる。新規尿毒素として確立することが可能となるであろう。NMRプロファイリングとの関係は当初の計画に照らして不十分であったが、他の測定系を確立することビオチンメタボロミクスとしての知見が得られ、難分解性ビタミンの慢性腎臓病におけるエピジェネティックな影響を初めて示唆した。
|