研究課題/領域番号 |
24659068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 龍平 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90376468)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 薬理学 / 生理学 / 脂質 / トランスレーショナルリサーチ / トランスポーター |
研究概要 |
近年、コレステロールの消化管吸収を担い脂質異常症治療薬エゼチミブの薬効標的であるNPC1L1に関する研究が進み、コレステロール輸送以外の多彩な生理機能が明らかになりつつある。本申請研究は、その細胞内局在・組織分布、類縁分子NPC1に関する報告やウィルス存在下におけるNPC1L1の機能不全などの知見から立案した、「NPC1L1をはじめとする消化管の脂溶性栄養物質トランスポーターが、消化管からのウィルス侵入における細胞膜受容体として働く」という仮説を実証することを目的としている。得られる成果は、基礎研究としての重要性のみならず、ウィルス感染リスクの個人差予測やウィルス感染対策などの臨床的側面においても大きな重要性・発展性を持つことが期待される。 研究開始年度にあたる本年度(平成24年度)には、消化管モデル細胞系および動物モデルを用いたウィルス感染経路の探索を行うための準備を進めた。 本研究において研究対象としている脂溶性栄養物質トランスポーターのNPC1L1、SR-BI、CD36のうち、NPC1L1およびSR-BIの発現ベクターは構築済みであった。そこで、CD36のcDNAをPCRにより増幅し、組み換えにより発現ベクターを得た。得られた発現ベクターを培養細胞に導入し、ウェスタンブロットを行った結果、期待される分子量のバンドを検出することができた。今後、脂溶性栄養物質トランスポーターの高発現細胞をGFP発現ウィルス存在下で培養後、GFPタンパク質の発現量をウェスタンブロット解析により定量的に解析し、アデノウィルス感染効率の評価を行う予定である。 動物モデルを用いた解析に関しては、NPC1L1発現アデノウィルスをマウスに投与し、一過性遺伝子改変モデルを作出することに成功した。今後は、遺伝子導入や阻害剤処理の有無による感染効率の違いに関する検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始年度にあたる本年度(平成24年度)の目標としていた、ウィルス感染経路の探索を行うためのin vitro・in vivo実験系の構築に成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究二年度目となる次年度(平成25年度)には、一年度目に構築されたin vitro・in vivo実験系を用い、ウィルス感染経路の探索を進めるとともに、トランスポーターを介したウィルス感染の分子メカニズムの解明や、遺伝子改変マウスを用いたウィルス感染リスクの評価を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度と同様、各種試薬や実験用動物購入費用などの消耗品費として主に使用することになるが、一部は得られた研究成果を学会において発表するための旅費、国際誌への論文投稿のための校閲費・印刷費・研究成果投稿料としての謝金・その他の費用として使用する予定である。
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