研究課題/領域番号 |
24659075
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉岡 靖雄 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (00392308)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナノマテリアル / 発生毒性試験法 / 胎仔培養法 / 安全性 |
研究概要 |
近年、医薬品領域においては、ナノマテリアルをキャリアあるいは添加剤として配合した医薬品や、そのものの薬効を利用したナノメディシンが期待されている。一方で、ナノマテリアル特有の革新的機能が、予期しにくい毒性を発現してしまうことが懸念されている。中でも “発生毒性”は、医薬品の安全性評価には必須であり、数世代にわたって毒性が継承されてしまう危険性があることからも、ナノマテリアルの安全性確保研究における最優先かつ最重要課題となる。一方で、既に数多くのナノマテリアルの医薬品応用が進むと共に、粒子径の縮小化・表面修飾体など、莫大な種類の新規ナノマテリアルが続々と開発され続けている。これらを、既存のマウス・ラットを用いた手法により発生毒性を評価した場合、時間・労力が膨大にかかることから、in vivoとの整合性に優れたハイスループットなin vitro発生毒性試験法(代替法)の確立が切実な課題となっている。本申請研究では、有害性が未解明な医療用のナノマテリアルの発生毒性(特に胎仔への影響)をin vitroで評価可能な、in vitro発生毒性試験法(代替法)の開発と、代替法の整合性や確度を科学的検証・最適化することを目指す。本年度は、申請者らが先駆けて、流産や胎仔発育不全などの発生毒性を呈し得ることを明らかとしてきた非晶質ナノシリカを用いて、in vitroおよびin vivoにおける催奇形性を評価した。その結果、非晶質ナノシリカをマウスの器官形成期に曝露しても、胎仔の奇形数の有意な上昇を誘発しないものと判断された。一方で、ES細胞から心筋細胞への分化を指標に催奇形性を評価したところ、催奇形性誘発物質であるレチノイン酸と比較すると弱いものの、分化阻害効果が認められた。従って、今後、in vivoとvitroの整合性が合致する評価系の構築が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、ナノマテリアルの催奇形性を評価すると共に、in vitroにおけるナノマテリアルの催奇形性予測を目指し、ES細胞を用いた評価に関する基礎情報を得た。その結果、ES細胞による催奇形性予測と、in vivoにおけるナノマテリアルの催奇形性との相関性は不十分であり、新たな評価系が必要であることを見出し、平成25年度にマウス胎仔を用いた胎仔培養法を用いた評価系を構築することにした。以上のように、当初の予定通り、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上述した通り、ES細胞による催奇形性予測と、in vivoにおけるナノマテリアルの催奇形性との相関性は不十分であり、新たな評価系が必要であることを明らかとした。そこで、平成25年度には、マウス胎仔を用いた胎仔培養法を確立すると共に、in vivoにおける発生毒性との連関評価によりin vitro発生毒性評価試験法(代替法)の確立を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、当初予定通りの計画を進めていく。
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