研究課題/領域番号 |
24659081
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
牛木 辰男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40184999)
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研究分担者 |
甲賀 大輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30467071)
中島 真人 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60588250)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 電子顕微鏡 / マイクロ・ナノデバイス / 解剖学 / 細胞・組織 / マニピュレーション |
研究概要 |
走査電子顕微鏡(走査電顕)内で操作できる高性能のマニピュレータを用いて、走査電顕内で組織を自由に顕微解剖できる新規な「走査電顕マイクロダイセクション法」を確立し、細胞や組織の立体微細構造をより詳細にできるようにする目的で以下の実験を行った。 1)3D走査電顕内でのマイクロダイセクションのための試料条件の確立 マイクロダイセクションをしやすい組織の試料作製法を検討した結果、一般的な電子顕微鏡の固定方法(たとえばグルタールアルデヒド固定)を用いて固定した標本にKOH処理法(Ushiki and Murakumo, 1991)を施すことでコラーゲン成分が除去され、マイクロダイセクションに適した軟らかさを持つ標本を作ることができた。またそれにタンニン・オスミウム法による導電染色を施してから臨界点乾燥を行うことで、走査電顕内でのマイクロダイセクション時の帯電を防ぐことができることを明らかにした。一方で、マイクロダイセクション時には試料がぐらつく点が問題であったが、これについては2台のマニピュレータを用いて操作することである程度の成果が得られた。なお、マイクロダイセクション用の道具として用いたナノピンセットは、グリップ力が弱いことから、今後の検討が必要である。 2)3D走査電顕による成体組織のマイクロダイセクションの検討 上記の標本作製法の確立において、腎臓と水晶体を用いて実際にマイクロダイセクションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)走査電子顕微鏡(走査電顕)内でマイクロダイセクションを行う際の問題点と克服すべき点を整理することができた。また、それに基づいて、基礎となる標本作製法については、確立することができたように思う。その点では、研究の目的のうちで、「1)3D走査電顕内でのマイクロダイセクションのための試料条件の確立」については80%程度の達成度ということができる。 2)また、「2)3D走査電顕による成体組織のマイクロダイセクションの検討」においては腎臓と水晶体の解剖を行過程で、実際のマイクロダイセクションを行う際の、装置側の問題点や道具(針やナノピンセットなど)の制約などがより明瞭になってきたため、こちらの達成度は50%程度である。
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今後の研究の推進方策 |
実際のマイクロダイセクションを行う際の、装置側の問題点や道具(針やナノピンセットなど)の制約などがより明瞭になってきたため、より現実的なマイクロダイセクションを行うための試行錯誤が必要と予想される。また、研究の遂行の途中で、現在使用している3D走査電顕の仕様が変更となったため、マニピュレータの適正化が必要となり、現在その作業も行っているが、これに際して、装置そのものの若干の改良も行いたいと考えている。一方で、成体組織よりは胎児や新生児の組織のほうが、マイクロダイセクションに適しているとも考えられることから、マウスないしラットを用いてこのような組織への応用を考えて行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実際のマイクロダイセクションを行うために、実験動物(おもにラット)の購入が必要である。また、標本作製のための各種試薬を購入する必要がある。一方で、ダイセクション用の針などの器具も必要である。 以上の消耗品のほか、研究の情報収集と発表のために旅費が必要である。また、成果発表のための費用も派生する予定である。
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