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2012 年度 実施状況報告書

ニッチ細胞を用いた成体膵幹細胞の内分泌細胞への分化誘導

研究課題

研究課題/領域番号 24659083
研究機関京都大学

研究代表者

金宗 潤  京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (10511925)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード幹細胞ニッチ / 再生 / 細胞運動 / 走化性 / 間質細胞 / 細胞間シグナル / 細胞培養 / 分化
研究概要

成体膵に膵障害等の外的ストレスが与えられた場合、膵再生を促すプロセスの一つとして、膵間質細胞の増殖が惹起される。セルライン化したマウス膵間質細胞と膵上皮細胞の共培養法を用いて細胞間作用を解析した結果、間質細胞と膵上皮細胞両者の増殖が並行して起こることを確認した。また、トランスウェルによる細胞運動解析を行い、間質細胞が膵上皮細胞に対して、化学走性シグナルを与えていることを示すデータを得た。ケモカイン一種のみをリガンドとした場合よりも、間質細胞をターゲットとした場合の方が、上皮細胞の細胞走性が高かったことから、間質細胞の分泌するリガンドはブレンドとして存在することが示唆された。
一方、ニッチ細胞より分泌される化学走性シグナルに誘引される上皮細胞の遺伝子発現解析から、膵形成に重要なPdx1と上皮系幹細胞の維持に関わるSox9を同時発現する細胞を認め、これらのニッチ組織側への移動が再生プロセスに重要であることが示唆された。次に、Sox9-GFPマウスからSox9陽性膵上皮細胞をソーター分離し、間質細胞との共培養実験を行った結果、Pdx1及びNotch1、Hes1等の発現の上昇を認め、これらのSox9陽性細胞が膵管上皮細胞の性質を維持しつつ増殖モードへと進展していることが解った。
さらに、増殖中のSox9陽性細胞は、細胞運動傾向(motility)においてヘテロな細胞群を形成しており、その傾向がより低い上皮細胞は、近傍にある上皮細胞の運動を促すWntリガンドを発現することを示すデータを得た。これらの結果から、上皮細胞群が間質細胞ニッチから放出されるケモカインブレンドの濃度勾配を辿って一律の動的反応を示すと共に、上皮細胞群内での近距離走性シグナルの授受を同時に行っていると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膵再生現象を担うニッチ細胞の同定と、ここで生じる細胞間作用(特に走化性)に着目し、膵上皮系幹細胞(Sox9陽性)の動態解析の基盤となるケモカインの作用が確認できていおり、解析対象となるエレメントは整ったという意味で、概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

研究計画の大きな変更はないが、Sox9陽性膵上皮細胞群自体が予測以上にヘテロであることから、表現型の詳細な定義は後で行うこととし、膵上皮系幹細胞をより確実に採取できる胎生期以降の若齢マウスからSox9陽性細胞をソートして用いるプロトコールを検討している。これにより、ターゲットとなる膵上皮系幹細胞の遺伝子発現とその分化動態をリアルタイムで解析することを前倒しにし、早期にマイクロウェル行路の実験デザインを整えたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費使用計画は、ほぼ当初の計画に沿って行えると考える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 成体マウス膵管上皮細胞及び膵由来血管内皮細胞の共培養による膵島様組織への分化転換2013

    • 著者名/発表者名
      金宗 潤、岩永康裕、高折恭一、上本伸二
    • 雑誌名

      胆膵の病態生理

      巻: 29 ページ: 1-5

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公開日: 2014-07-24  

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