研究課題
光遺伝学(オプトジェネティクス)を用いたタンパク質活性制御は次世代タンパク質機能解析法として注目されている。本研究は、通常の水銀アーク光源を利用した電動蛍光顕微鏡をベースとしてイメージングソフトのマクロプログラミングにより高度に自動化した安価で実用的な光制御イメ-ジングシステムを構築することを目的して行われた。蛍光顕微鏡は、イメージングソフトから制御できる電動励起光絞りを利用し励起光照射部位のサイズを調節することで、細胞の一部だけを光刺激したり全視野を光刺激したりすることを可能とした。光刺激用にCFPフィルター、蛍光画像取得用にRFPないしYFPフィルターセットを電動ターレットに備え、高速回転で波長チェンジさせる。透過光の光路には、500 nm-ロングパスフィルターを挿入して透過光による光刺激をカットした。光制御システムは、MetaMorphイメージングソフトウェアのジャーナル機能でプログラミングし、自動での光刺激とタイムラプス画像取得を行えるようにした。植物青色光センサーphototropinのLOVドメインを融合させたPhotoactivatable(PA)-Rac1は、青色光刺激によりコンフォメーション変化をおこし可逆的に活性化させることで、その分子スイッチとしての役割を顕微鏡下で可視化できる。RAW264マクロファージ、PC3細胞にPA-Rac1のcDNAを遺伝子導入し、12-24時間後にRac1活性光制御実験を行った。我々のシステムを用い、光照射によりRac1依存性と思われる細胞運動を安定して誘起することに成功し、学会及び論文発表を行った。さらに、緑色光照射によって活性酸素ROSを産生するKillerRedを用いたCALIや他の励起波長での光刺激にも対応できるよう光刺激用フィルターを選択できるプログラミングを行い、これによってより汎用性の高いオプトジェネティクス顕微鏡システムを完成することができた。
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Microscopy
巻: 63
10.1093/jmicro/dfu003
Scientific Reports
巻: 3 ページ: 2385
10.1038/srep02385