研究概要 |
Dipeptidase1 (DPEP1)の細胞内グルタチオン濃度調節機構を介した抗癌剤耐性機構を明らかにする目的で、新規DPEP1陽性膜ドメインの形態学的な同定とDPEP1の細胞増殖・浸潤能・酸化ストレス耐性能への関与を明らかにする。平成24年度中に以下の成果が得られた。 1.6種類のヒト大腸癌由来細胞株(LoVo, RKO, HT29, HCC56, SW480, CaCO2)、HeLa細胞及びA549細胞をウエスタンブロット法で解析したところ、HCC56細胞においてDPEP1の発現量が顕著に高く、同細胞がDPEP1機能を解析するモデル細胞株として有用であることが分かった。 2.3日間培養したHCC56細胞を用いて蛍光抗体法による局在解析を行うと、apical側やbasolateral 側の細胞膜に沿って点状のシグナルが観察された。二重免疫蛍光法により、これら点状シグナルはラフトマーカーであるcaveolin-1やflotillin-1とはほとんど共局在せず、別のGPIアンカー型タンパク質であるCD59と高い共局在性を示した。また、包埋前金コロイド増感法を用いた免疫電子顕微鏡解析では、微絨毛を有する部位及び平滑な細胞膜上にシグナルが集積した。以上よりDPEP1は微絨毛を含むGPIアンカー型タンパク質に特異的な膜ドメインに集積することが判明した。 3.HCC56細胞でDPEP1の発現を抑制するためのRNAi実験系を確立した。 4.以上の結果を学会で発表した。
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