研究課題/領域番号 |
24659090
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
三浦 正明 北里大学, 医学部, 講師 (60276053)
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キーワード | 傍濾胞細胞 / 鰓後体 / C細胞 / インスリン / カルシトニン / 分化転換 |
研究概要 |
平成25年度は,平成24年度の結果をもとに,培養した鰓後体C細胞に対してインスリン産生細胞に分化させる遺伝子を導入後の細胞の変化を,ELISAや2重蛍光染色法により調べた. 1.孵卵12日のニワトリ卵から鰓後体を取り出し分散後,1日培養し,Pdx1とMafAを導入した pTargeT 発現ベクターをトランスフェクションした. 48時間後, 20mM グルコースを含む培地に入れ替えグルコース応答性をELISAにて確認した. その結果,この培養方法ではグルコース応答性が確認できなかった. 通常の膵島初代培養細胞でも分散させるとグルコース応答性が失われるという結果があるので,鰓後体も分散させずに塊のままグルコース応答実験を今後行う予定である. しかし,発現ベクターをトランスフェクションした培養C細胞に対して,RIPAバッファーを使用して細胞を溶解し,その溶解液を用いてELISAを行ったところ,コントロールと比較すると約8倍インスリンタンパク量が増加していた. Pdx1とMafA導入によりC細胞がインスリンタンパクを合成していることが確認できた. 2.発現ベクターをトランスフェクションした培養C細胞に対してカルシトニンとインスリン抗体の二重免疫染色を行った. その結果,培養C細胞はカルシトニンを含む本来の細胞,カルシトニンとインスリンを含む細胞,およびインスリンを含む細胞と3種類の細胞が観察された. これは孵卵12日の鰓後体C細胞の分化進行度が異なるため,複数の性質を持つ細胞が現れたと考えられる. 次に分化の進行が進んだ孵卵後期の鰓後体で,Pdx1とMafAを導入した発現ベクターをトランスフェクションした場合に,どのような性質の細胞が現れるか観察する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的ではトリからマウスに実験動物を変更し,臨床応用に近づくことを計画していた. しかし,いくつかの培養方法を試してみたが,Pdx1とMafA導入培養C細胞ではグルコース応答性が見られなかった. そのため,生理活性を持つ培養方法の確立や,他の遺伝子の導入を検討する必要がでてきた. また,インスリン分泌顆粒の状態を電子顕微鏡で観察するなど,いくつかの別の実験が必要になったため.
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今後の研究の推進方策 |
Pdx1とMafA導入培養C細胞を,グルコース応答性を持つ細胞にするために,他の遺伝子の導入や培養方法の検討を行う. 同時に電子顕微鏡を使用して,培養C細胞におけるインスリン分泌顆粒の状態を観察する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の実験計画で購入する予定であったマウスを計画の遅れにより購入しなかったため. 物品費に使用する予定である.
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