研究課題
野生型マウスおよびNrf2KOマウスを用いて、トレッドミルを用いて運動耐用能試験を行ったところ、Nrf2KOマウスの走行距離が野生型に比べ有意に短いことが確認された。さらに、Nrf2の活性化作用をもつ、機能性食品成分のスルフォラファン(SFN)を投与した野生型マウスでは、走行距離が非投与群に比べ有意に増加した。この結果より、Nrf2は骨格筋機能に強く影響を与える因子であることが示唆された。また、上記遺伝子改変マウスに高脂肪高ショ糖食を投与することで、脂肪肝を誘導した後、4週間の運動トレーニングを実施、運動による脂肪肝の改善効果を各マウス間で比較したところ、Nrf2KOマウスでは、他のマウスに比べ、運動による脂肪肝の改善程度が低いことが認められた。すなわち、Nrf2KOマウスでは脂肪肝に与える運動の効果が減弱していることが明らかとなった。このNrf2KOマウスでの運動効果の減弱の要因として、骨格筋より運動により分泌されるマイオカインに着目している。マイオカインは、運動等の様々な刺激によって骨格筋から分泌されるタンパク質群の総称であり、近年、骨格筋での運動の効果を他臓器へ伝える「運動因子」として注目されている。骨格筋でのNrf2の発現変化は、骨格筋のマイオカイン産生能に強く影響を与え、運動効果の伝達に影響を与える可能性を推察している。そこで、Nrf2がマイオカインの発現に与える影響を解析するため、野生型、Nrf2KO、Keap1KDマウス(Nrf2過剰発現モデル)由来の筋衛星細胞を使用し、マイオカインの網羅的な発現の比較解析を実施中である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
J Gastroenterol
巻: 48 ページ: 620-32
J Neuroscience
巻: 33 ページ: 14767-14777
J Gastroenterology
巻: 49 ページ: 702-714
doi:10.1007/s00535-013-0813-2
Oncology Report
巻: 29 ページ: 2147-2153
Medicine & Science in Sports & Exercise
巻: 45 ページ: 2214-2222