研究課題
香辛料成分(カプサイシン)の短期作用について、暑熱短期刺激をコントロール実験に置きながら培養細胞を中心に検討を行った。暑熱刺激群では、刺激を数時間からストレス反応性タンパク質の活性化が確認された。かつ、刺激後24時間にはheat shock proteinsの誘導に重要な働きをする転写因子heat shock factor-1の発現誘導が起きるとおもに、heat shock protein 70およびheat shock protein 90の発現誘導が確認された。興味あることに、それらの細胞では、通常なら細胞死を引き起こす42℃のheat shockに対して抵抗性(耐熱性)を保持していることが明らかとなった。香辛料の成分でありTRPチャネルを活性化するカプサイシンは、刺激後24時間には転写因子heat shock factor-1の発現を誘導し、かつストレス反応性タンパク質の活性化が確認された。以上の結果から、香辛料の成分でありTRPチャネルを活性化するカプサイシンは暑熱刺激を模倣すると考えられる。今後はその模倣が、どの程度の範囲まで及ぶのか、また、水チャネル・アクアポリンの発現に与える影響について検討する。
2: おおむね順調に進展している
新規にCO2インキュベーターを導入できたことから、香辛料成分の作用の検討と同時に、(本来模倣されると予測される事象、つまり)暑熱刺激による作用と比較検討できるようになった。本年度はまだ短期的な刺激期間の結果検討のみであるが、香辛料成分(カプサイシン)が予測されたように暑熱刺激を模倣することが明らかとなった。ただ、その模倣の及ぶ範囲については今後の検討結果を待たねばならない。すくなとも、香辛料成分(カプサイシン)は細胞内情報伝達経路において暑熱刺激と重なるところがあることから、香辛料成分(カプサイシン)が水チャネル・アクアポリン発現の誘導を引き起こす可能性を強く示唆する。
平成25年度は短期刺激による解析を中心に行ってきた。平成26年度は長期刺激による解析を中心に行う予定である。僅かな刺激であってもその作用期間が長ければ(積分され蓄積)、結果的には大きな効果・影響を及ぼすものと考えられる。暑熱馴化の場合、暴露期間が重要な因子であることから、本研究においても長期刺激の検討が必要と考える。また、実験動物を用いた研究も実施予定する。
該当年度の情報収集・成果発表のための海外国際学会参加を控えたことと、短期刺激による解析を中心に行ってきたことから、次年度に使用する予定の研究費が生じた。研究推進のために、主に物品費に充てる。また、国際学会発表も含めて成果発表や情報収集のために旅費およびその他(英文校正費、投稿料など)に充てる。50万円以上の物品の購入はない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (5件)
Mol Clin Oncol
巻: 1 ページ: 281-285
10.3892/mco.2013.65
J Orthop Sci.
巻: 18 ページ: 145-151
doi: 10.1007/s00776-012-0306-9
J Microbiol Immunol Infect.
巻: in press ページ: in press
doi:10.1016/j.jmii.2012.03.004
ScientificWorldJournal
巻: 2012 ページ: 74872
doi: 10.1100/2012/748572.
Cell Physiol Biochem.
巻: 30 ページ: 450-457
doi: 10.1159/000339038.
Oncol Rep.
巻: 28 ページ: 1176-1180
doi: 10.3892/or.2012.1937.
Anticancer Res.
巻: 32 ページ: 3643-3649
PLoS One.
巻: 7 ページ: e45689
doi: 10.1371/journal.pone.0045689.