研究課題
筋膜 (fascia) は“第2の骨格”とも言われ、その生体における支持組織としての役割は確固たるものである。しかし、一方で、筋膜の支持機能以外の生理・解剖学的役割に着目した研究は皆無に等しく、基礎医学において筋膜はいわば“忘れ去られた組織”と言える。本年度は、その疼痛発生源として筋膜が重要であると示唆されている遅発性筋痛の動物モデルを用い、遅発性筋痛を生じる伸張性収縮のパラメータを同定し、および伸張性収縮中の機械因子を明らかにした。また、遅発性筋痛の末梢性感作に重要な神経成長因子が筋のみならず、筋膜でも発現増大することがわかった。これらの結果は遅発性筋痛を予防し、効果的な運動処方の立案に有用であると考えられる。また、計画当初は予定していなかったが、本年度より、光遺伝学を用いた新規筋・筋膜性疼痛モデルの開発に着手した。具体的には、アデノ随伴ウイルスベクターを用い、光活性化タンパクであるチャネルロドプシン2を骨格筋の局所部位に発現させ、電気刺激ではなく、青色光照射によりin vivoで骨格筋を収縮させることに成功した。また、チャネルロドプシン2を含むプラスミドをエレクトロポレーションにより骨格筋内に導入し、青色光照射により経皮的に骨格筋を収縮させることに成功した。今後はチャネルロドプシン2を骨格筋内の任意の部位に発現させ、光照射により骨格筋特異的、かつ、限局した部位のみを反復収縮させ、肩こりや腰痛に特徴的な限局部位の”コリ”を実験的に作製し、新たな筋・筋膜性疼痛モデルの確立を目指す。また、このような骨格筋の光遺伝学操作は、高齢者に多いサルコペニアの有効な治療法にもつながると期待できる。
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http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100002661_ja.html