研究課題/領域番号 |
24659108
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
椛 秀人 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (50136371)
|
研究分担者 |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (10194490)
谷口 睦男 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10304677)
村田 芳博 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (40377031)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ドキシサイクリン / c-fosプロモーター / フェロモン / 交尾 / 副嗅球 / 僧帽細胞 / 顆粒細胞 / 可視化 |
研究概要 |
雄マウスは、交尾を引き金として交配雄フェロモンの記憶(系統特異的記憶)を形成し、妊娠保障を獲得する。本研究の目的は、系統認識記憶に帰結する脳機構、特に記憶神経細胞をin vivoで可視化し、その神経細胞におけるシナプスの可塑的変化を直接捉えることであった。そこで、神経活動依存的に活性化されるc-fosプロモーターの制御下でドキシサイクリン(dox)発現調節システムを駆動することによって、時期特異的に活性化されたニューロンを持続的に標識することを可能にしたトランスジェニックマウスを用いてこの課題に挑戦した。神経活動に依存したGFPマーカーの発現は、doxのない餌と神経刺激(交尾刺激)によってトリガーされる。本研究では、マウス副嗅球のスライス標本を作製し、常套的もしくはnystatin 穿孔パッチによるホールセルクランプ法を用いて各種薬物の相反性シナプス電流に対する効果を調べると共に、フェロモン刺激によって可視化された僧帽細胞と顆粒細胞の電気生理学的特性を可視化されていない僧帽細胞と顆粒細胞の特性と比較検討することであった。picrotoxin (50 μM) で顆粒細胞から僧帽細胞へのGABA作動性シナプス伝達を遮断しておき、僧帽細胞からCa2+チャネルを流れるBa2+電流を記録した。代謝型グルタミン酸受容体mGluR2作動薬(2S,1’R,2’R,3’R)-2-(2,3-dicarboxycyclopropyl)glycine (DCG-IV)の細胞外投与によりBa2+電流は抑制された。 この結果は僧帽細胞に発現するmGluR2の活性化は電位依存性Ca2+チャネルを抑制することによってグルタミン酸の放出を抑制することを示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究でdoxのない餌と交尾刺激によって、副嗅球の一部の僧帽細胞と顆粒細胞がGFPの蛍光を発し、標識されることをスライス標本において確認してきた。これらの標識された僧帽細胞と顆粒細胞からホールセル記録を行い、それらの細胞の電気生理学的な基本特性の一部を得ることができた。しかし、標識されたペア間のシナプス伝達の特性を標識されていない僧帽細胞と顆粒細胞のペア間のシナプス伝達の特性と比較するまでには至らなかった。今後、本解析を継続し、目的達成に繋げたいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
標識された僧帽細胞と顆粒細胞のシナプス伝達の電気生理学的な基本特性を標識されていない僧帽細胞と顆粒細胞のものと比較し、フェロモン記憶を支えるメカニズムの解明に繋げたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の遅れが生じたことにより、繰り越し金が発生したが、その遅れを取り戻すために実験を加速させる予定である。そのため次年度は試薬等の消耗品代の増加が見込まれる。
|