研究課題
本研究では、TGFbスーパーファミリーのひとつであるGrowth Differentiation Factor 5 (GDF5)に着目し、各種遺伝子改変マウスを用いてGDF5によるエネルギー代謝調節機構を個体レベルで明らかとし、その成果を褐色脂肪細胞を標的とした、ヒトにおける肥満に対する新規治療法や治療薬開発を指向するための研究基盤とすることを目的とした。本年度は、GDF5の機能を欠損したdominant negative(DN)型GDF5遺伝子改変マウスを用いて、通常食負荷および高脂肪食負荷における表現型解析を行った。まずDN型GDF5遺伝子改変マウスについて、リアルタイム呼吸代謝計測システムを用いて酸素消費量を測定した。通常食負荷条件下における酸素消費量は、DN型GDF5遺伝子改変マウスと野生型マウスとで有意な差は認められなかった。一方、高脂肪食負荷条件下において、DN型GDF5遺伝子改変マウスの酸素消費量は、野生型マウスと比較して有意に低下した。さらにDN型GDF5遺伝子改変マウスの脂肪組織における遺伝子発現をreal-time PCR法により検討したところ、PGC1aやUCP1などの褐色脂肪細胞マーカー遺伝子の発現は、野生型と比較して有意に減少した。前年度の脂肪組織特異的GDF5過剰発現マウスの解析結果と本年度の解析結果を考え合わせると、脂肪組織におけるGDF5は褐色細胞の活性化を誘導し、全身エネルギー代謝を調節している可能性が示された。
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Diabetes
巻: 63(1) ページ: 162-175
10.2337/db13-0808