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2012 年度 実施状況報告書

ハイコンテント顕微鏡イメージング用いた新規神経変性疾患治療薬の自動検索法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24659117
研究機関広島大学

研究代表者

酒井 規雄  広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (70263407)

研究分担者 秀 和泉  広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (20253073)
田中 茂  広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (20512651)
関 貴弘  広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (50335650)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードケミカルシャペロン / 膜輸送 / セロトニントラスポーター / 脳虚血 / 神経変性疾患 / うつ病
研究概要

①タンパク質分解の30%を占めると考えられているシャペロン介在性オートファジー(CMA)の活性を細胞レベルでリアルタイムに検知できるシステムをイメージングを駆使して開発した。具体的には、CMAの基質となるGAPDHにハロタグを融合させたタンパクGAPDH-HTを蛍光ハロタグリガンドで標識したものを用いる。GAPDH-HTはCMAを活性化させる刺激によりリソソームに集積することが分かった。(PLoS ONE 7 (2012) e31232)
② CMAは低酸素負荷により活性化され、神経細胞死を抑制する。神経細胞株あるいはラットの中大脳動脈閉塞モデルを用いた検討により、細胞株で低酸素負荷をかけた際、あるいはラットに脳虚血負荷をかけた際にCMAの必須タンパク質であるLAMP2Aが増加しLAMP2Aをノックダウンさせると細胞死が増悪することを確認した。(Neurochem. Int. 60 (2012) 431-442)
③ ケミカルシャペロンの一種である4-フェニルブチル酸(4-PBA)は、抗うつ薬の作用点であるセロトニントランスポーター(SERT)の取り込み活性を上昇させることを見出した。その機序について検討したところ、4-PBAは、小胞体に停留しているSERTの膜輸送を促進し、細胞膜の発現量を相加させる効果があることが明らかになった。加齢や脳虚血などで小胞体ストレスが生じ、SERTの膜輸送が阻害され、シナプス間隙でのセロトニンの回収が不足し、最終的にセロトニン神経伝達が不活性化することが予想される。このことが、老人性うつや脳梗塞後のうつの原因になりうる。4-PBAのようなSERTの膜輸送を促進する薬物は、それらの病態を改善させる新たな気分障害治療薬になりうることが示唆された。( J. Pharmacol. Sci. (2013) in press)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ハイコンテント顕微鏡を使った解析に至るまでの基礎研究に時間を要しているが、新たにセロトニントランスポーターの膜輸送を指標にしたケミカルシャペロンのスクリーニング法の開発に結び付く基礎データーを得た

今後の研究の推進方策

ハイコンテント顕微鏡を使った評価法の確立を今後、重点的に進めていく。また。新たに見つかったセロトニントランスポーターの膜輸送を指標にした解析方法によるスクリーニング法の開発も推進していく。

次年度の研究費の使用計画

① 変異γPKC-GFPを用いた神経変性疾患治療薬のスクリーニングと薬物評価
24年度未使用研究費の使用計画:・ハイコンテント顕微鏡を用いたスクリーニング条件をさらに確立する。確立した方法を用いて薬物スクリーニングを行う。・神経変性疾患治療薬としてとの効果が報告されている既知の薬物の効果をスクリーニングする。
25年度研究費の使用計画:・製薬会社からすでに提供を受けている薬物ライブラリーをスクリーニングに供する。・初期培養プルキンエ細胞にアデノウイルスベクターで変異γPKC-GFPを発現させたSCA14細胞モデルを用いる。凝集体形成、アポトーシス、樹状突起の発達を指標に薬物評価を行う。・ハンチントン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患モデルマウス(購入予定)においても同様の検討を行う。
② GAPDH-HTを用いたCMA活性化薬のスクリーニングと薬物評価
24年度未使用研究費の使用計画:ハイコンテント顕微鏡を用いたスクリーニング条件をさらに確立する。確立した方法を用いて薬物スクリーニングを行う。
25年度研究費の使用計画:・製薬会社からすでに提供を受けている薬物ライブラリーをスクリーニングに供する。・アデノウイルスベクターでGAPDH-HTを発現させた初期培養プルキンエ細胞においてもCMAが活性化するか確認する。・ハンチントン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患モデルマウスにおいて症状改善効果があるかを検討する。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Long-term exposure of RN46A cells expressing serotonin transporter (SERT) to a cAMP analog upregulates SERT activity and is accompanied by neural differentiation of the cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, H
    • 雑誌名

      J. Pharmacol. Sci.

      巻: 121 ページ: 25-38

    • DOI

      10.1254/jphs.12229FP

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Effects of the chemical chaperone 4-phenylbutylate on the function of the serotonin transporter (SERT) expressed in COS-7 cells.2013

    • 著者名/発表者名
      Fujiwara, M
    • 雑誌名

      J. Pharmacol. Sci.

      巻: 122 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Establishment of a novel fluorescence-based method to evaluate chaperone-mediated autophagy in a single neuron.2012

    • 著者名/発表者名
      Seki, T.
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e31232

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0031232

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hypoxic stress activates chaperone-mediated autophagy and modulates neuronal cell survival.2012

    • 著者名/発表者名
      Dohi, E
    • 雑誌名

      Neurochem. Int.

      巻: 60 ページ: 431-442

    • DOI

      10.1016/j.neuint.2012.01.020

    • 査読あり
  • [学会発表] 低酸素ストレスにより活性化されるシャペロン介在性オートファジーの細胞保護効果

    • 著者名/発表者名
      土肥栄佑
    • 学会等名
      第121回薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      徳島
  • [学会発表] 神経細胞株SH-SY 5Y細胞におけるニコチン誘発性PKCトランスロケーションの観察

    • 著者名/発表者名
      酒井規雄
    • 学会等名
      第16回活性アミンに関するワークショップ
    • 発表場所
      札幌
  • [学会発表] GPR3依存的な神経突起伸長にPI3キナーゼ、MAPキナーゼの活性化が寄与する。

    • 著者名/発表者名
      田中茂
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋
  • [学会発表] GPR3 protects neurons from apoptosis under the hypoxic condition.

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S
    • 学会等名
      第55回日本神経化学会
    • 発表場所
      神戸
  • [学会発表] Enhanced survival and phagocyticactivity by Toll-like receptor 4 activation in rat microglia.

    • 著者名/発表者名
      Hide, I
    • 学会等名
      第55回日本神経化学会
    • 発表場所
      神戸
  • [学会発表] Long-term exposure of cAMP analogue up-regulates the function of serotonin transporter (SERT) in RN46A cells.

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, H
    • 学会等名
      Neuroscience 2012 (Annual meeting of society for neuroscience)
    • 発表場所
      New Orleans, USA
  • [学会発表] Time dependent alternations of lysosomal-associated membrane protein type 2A in rodent brain following cerebral ischemia.

    • 著者名/発表者名
      Dohi, E
    • 学会等名
      Neuroscience 2012 (Annual meeting of society for neuroscience)
    • 発表場所
      New Orleans, USA
  • [学会発表] Phosphatidylinositol 3-Kinase and mitogen-activated protein-kinase signaling pathway play a role in the GPR3-mediated neurite outgrowth.

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, S.
    • 学会等名
      Neuroscience 2012 (Annual meeting of society for neuroscience)
    • 発表場所
      New Orleans, USA
  • [学会発表] 虚血脳におけるシャペロン介在性オートファジーの役割

    • 著者名/発表者名
      田中茂
    • 学会等名
      第24回日本脳循環代謝学会総会
    • 発表場所
      広島
    • 招待講演
  • [学会発表] ミクログリアの死細胞貪食におけるP2Y2受容体の役割

    • 著者名/発表者名
      秀和泉
    • 学会等名
      第122回薬理学会近畿部会
    • 発表場所
      大阪
  • [学会発表] GPR3を介した突起伸長にGbetagannmaを介する経路が部分的に関与する。

    • 著者名/発表者名
      田中茂
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      福岡
  • [学会発表] oll様受容体4活性化により生存するミクログリアは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を自己誘導 する。

    • 著者名/発表者名
      神垣真由美
    • 学会等名
      第86回日本薬理学会年会 学 会
    • 発表場所
      福岡

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公開日: 2014-07-24  

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