研究課題
①脊髄小脳変性症14型(SCA14)の原因タンパク質である変異γPKCの凝集体形成と細胞毒性と分子シャペロンである熱ショックタンパク質HSP70との関連を解析した。神経系の培養細胞であるSH-SY5Y細胞に変異γPKCを発現させたところ、HSP70の発現は上昇し、siRNAでHSP70をノックダウンすると、変異γPKCの凝集体形成は増加し細胞毒性も上昇した。この結果からHSP70はSCA14変異γPKCの凝集体形成を抑制し、細胞毒性を阻害する役割を持つことが明らかとなり、HSP70はSCA14の治療標的であることが示唆された (BBRC 2013 440 : 25-30)②脊髄小脳変性症14型(SCA14)の原因タンパク質である変異γPKCがどのような機序で神経細胞死や樹状突起の発育不良を引き起こすか、その分子機序を解析した。細胞内のγPKCはその活性化薬であるフォルボールエステルのTPAを処置すると、一旦、細胞膜に移動した後、マクロピノサイトーシスにより核近くに凝集する。しかしながら、SCA14変異γPKCでは、TPAで処置してもそのような現象が見られないことが明らかとなった。また、変異γPKCはマクロピノサイトーシスに重要なMARCKSのリン酸化を引き起こさないことがわかり、そのことがTPAによるマクロピノサイトーシス惹起を阻害する一因になることが解った。SCA14の発症原因にマクロピノサイトーシスの制御不全の関与が示唆された。(Frontiers in Physiology (2014)5: 126.)③セロトニントランスポーター(SERT)のC末端欠損体(SERT ΔCT)は、小胞体に停留し凝集体を形成することがわかった。この凝集体は4-PBAなどのケミカルシャペロンで減少することが確認できたので、SERTΔCTの凝集体形成を指標に膜輸送活性化物質を検索することが可能となった。
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